乗組員ヘロヘロ? 原子力潜水艦が“長すぎる”海中の任務終え帰還 「破滅的な危険性」と批判も イギリス
流石に事故が起きかねないという批判も。
長期間任務をしなければならない理由とは?
イギリス海軍のヴァンガード級原子力潜水艦が長期の哨戒任務を終えて帰還したと、潜水艦基地のあるスコットランドの地方メディアや海軍関係のメディアなどで2025年3月17日報じられました。

報道によると、3月17日に帰還したこのヴァンガード級潜水艦は、約204日間も海中で任務についていたとのことです。これは、2023年9月に同じくヴァンガード級潜水艦が達成した約195日間を上回るもので、イギリス海軍史上でも最長クラスの哨戒任務期間になるようです。
ここ数年ヴァンガード級の哨戒任務は、5か月超えが当たり前となって、今回のように半年を超えることも珍しくなくなっているそうです。
こうした長い期間潜るようになった要因には、稼働率の問題があるようです。同級原子力潜水艦をイギリス海軍は4隻保有していますが、1番艦の「ヴァンガード」は約7年に及ぶ修理を経て、2024年8月に復帰したばかりで、2番艦の「ビクトリアス」に関しては2022年に火災事故を起こし現在も改装中です。
そのため、残った「ヴィジラント」及び「ヴェンジェンス」の2隻で長期の任務が常態化しているのです。
この件に関しては、艦そのものの状態悪化に関する懸念のほか、長期間の航海が乗組員の規律や士気、心理的な健康に与える影響が指摘されています。事実、2023年11月には深度計が故障し、一時、誤って最大深度として設定されている水深約500mまで潜ってしまったトラブルも発生しています。
こうした重大事故寸前の状態を受け「破滅的な危険性をはらんでいる」と評すメディアもありますが、現状イギリス海軍で、ヴァンガード級のような核弾頭を搭載可能な、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射能力を備える艦はほかにはありません。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、洋上での継続的な抑止力の維持は、これまで以上に重要な意味を持つようになっており、大変な状態でも、哨戒任務を維持せざるを得ないのが現状のようです。
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