「もう後には退けない!」車両メーカーが本気で作る「ドクターイエロー」ドデカ模型がスゴイ! ぜんぶ本物!ガチ取材! クラファン不成立ならスクラップ

鉄道車両などの製造をする日本車輌製造とJR東海、鉄道模型メーカーのカツミが協働したクラウドファンディング「923形ドクターイエロー(T4編成)ディスプレイモデルを作りたい!」が、JR東海のECサイト「JR東海MARKET」でスタートしています。

ドクターイエロー引退で企画品が登場! もう一度T4編成を見たい!

 鉄道車両などの製造をする日本車輌製造と、JR東海、鉄道模型メーカーのカツミが協働したクラウドファンディング「923形ドクターイエロー(T4編成)ディスプレイモデルを作りたい!」が、JR東海のECサイト「JR東海MARKET」でスタートしています。

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「再生アルミ製車両形式図プレート(裏面塗装付き)」を手にする日本車輌製造の園田さん(左)と稲場さん(右)。レーザー刻印されたドクターイエローの形式図の裏面にはドクターイエローの塗装がされている(乗りものニュース編集部撮影) ※写真に写る返礼品はサンプルです

 これは2001年9月から東海道・山陽新幹線の検測走行を担い、2025年1月に引退したドクターイエロー(T4編成)の7号車を、1/45スケールディスプレイモデルで再現し、923台限定でクラウドファンディングの支援者に返礼品として贈るというプロジェクトです。

 既に目標額の6割近くが集まって支援者も増えてきていますが、もしクラウドファンディングが不成立の場合には、ディスプレイモデルの再現は「幻」となってしまうそうです。そんな中、「なんとしてでも5月29日までにクラウドファンディングを成立させたい」と意気込む担当者の思いを伺いました。

 ドクターイエローは走行区間や走行時刻などの詳細が全く公表されないことから、いつしか「見ると幸せになれる」と言われてきた、線路など鉄道設備の点検を行う検測車両です。

 今回のクラウドファンディングで製作されるモデルは、JR東海の大井車両基地や浜松工場にて複数回に及ぶ実車取材がされており、警笛音などの音素材や、車内搭載品、車内外の標記、色見本との照合、寸法測定などが実際に行われました。その上で製作される予定です。

 日本車輌製造で同企画を進行している稲場優斗さんは「精密な模型を届けるために、JR東海と連携して、実車をさまざまな角度から撮影しました。音の取材では、例えばブレーキを解除するときの緩解音(空気音)だけを録音するために、集電用のパンタグラフを降ろして、電気を使って作動する補機類の音が入らないようにして収録しました」と、現車取材でのこだわりぶりを詳説。

 さらに稲場さんは「ドクターイエローの実車の黄色を忠実に再現するために、取材の際に色見本を何種類も用意して照合しました。T4編成の『今』に最も近い最後の姿を記録しています」と、色の再現のための緻密な取材を振り返りました。

Oゲージサイズのビッグスケールモデルの特徴は?

 1/45スケールで製作されるモデルはABS樹脂とダイカスト素材で構成され、全長が約607mm、全幅が約75mm、高さが約88mm、線路幅は32mmで、Oゲージ相当のサイズで製作されます。

 外装の再現はもちろん、運転席や添乗員室などの車内の再現と、標識灯(ヘッドライトのロービーム、ハイビームおよびテールライト)や室内の発光ギミック、実際のT4編成から収録した警笛音やブレーキ緩解音などを鳴らすことができるそうです。

 模型の製作と監修を担うのは、鉄道模型メーカーのカツミ。同社はかつて日本車輌製造が運営していた鉄道グッズブランド「日車夢工房」から販売された「0系新幹線のディスプレイモデル」も製作していたとのことです。

 クラウドファンディングの支援者には、2000年のドクターイエロー出荷時と同じ製法で特別に再現された製造所銘板のレプリカ品を全員に用意。プランによっては廃車にされたT4編成から採取されたアルミを再利用した車両形式図プレート(裏面塗装付きもあり)、編成図プレートも用意されています。

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2025年5月29日まで限定923台で「923形ドクターイエロー(T4編成)ディスプレイモデルを作りたい!」が実施される(画像:JR東海MARKET)

 稲場さんとともに企画を進めている日本車輌製造の園田泰之さんによると「実際の車両から切り出したアルミ材を再利用する試みは、社内の鉄道愛好家から案が生まれました」と話し、廃材をアップサイクルした鉄道グッズの販売は同社初と言います。

 23万9000円からスタートしている今回のクラウドファンディングの中で、最も高価な39万2000円のプランに同梱(どうこん)される、「再生アルミ製車両形式図プレート(裏面塗装付き)」は特に注力して製作したと言います。

「アルミプレートに黄色の塗装をそのまま塗るだけではきれいに色が乗らないので、下塗りなども行って実車の塗装と同じ方式で塗っています。こちらも取材で得られたT4編成の色を再現していて、青い帯も1/10スケールで忠実に再現しています」(園田さん)

 日本車輌製造で広報を務める駒村宜則さんは、今回のクラウドファンディングについて「『幸せの黄色い新幹線』と呼ばれているドクターイエローを再現し、支援者の人がいつでもドクターイエローを見ることができ、幸せが訪れるようにしたい、と関係者一同願って企画・実行しています。中京圏の皆さまには東海地方のメディアで情報をお届けできましたが、それ以外の地域の皆さまにはこのクラウドファンディングがあまり知られていません。ぜひ応援してほしいです」と呼び掛けています。

「923形ドクターイエロー(T4編成)ディスプレイモデルを作りたい!」は23万9000円からの支援金となっており、寄付応募は2025年5月29日までです。923台の支援台数に達した時点で受付を終了します。

 なお、目標金額(1億2000万円)に未達の場合は、プロジェクトを進行できない仕組みとなっており、ディスプレイモデルはもちろんのこと、ドクターイエローT4編成の廃アルミを用いた限定品も支援者に届けることができないそうです。目標金額に達した場合、ディスプレイモデルなどの返礼品は2026年春ごろに支援者に届けられるとしています。

【画像】全員配布だと!? 忠実に再現された製造所銘板と車両形式図のサンプル品を見る!(26枚)

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