ベテランいなくても大丈夫!「操船の激ムズポイント」AIでフル自動化へ 海運業界の “ヒト不足” 改善になるか?

川崎重工は離着岸操船の自動化テストに成功しました。

入船から出船まですべてが自動に

 川崎重工は2025年5月20日、川崎汽船や川崎近海汽船と3社で研究・開発中の「安全離着岸支援システム」を用いた離着岸操船の自動化実証に成功した発表しました。

Large 20250526 01

拡大画像

実証に使用した船舶(画像:川崎重工)。

 自動化に使われるのは、風の影響を考慮して進路と速度、や停船位置の予測などといった高精度な情報を提供する「操船支援情報表示装置」と、時々刻々と変化する気象や海象の予測情報などを基に、影響が出そうな速度や体勢を自動で最適化し制御する「操船支援制御装置」です。

 AIをはじめとした最新技術を用いて、操船や係船技術をアシストするこのシステムによって、事前に設定したルートの航行だけでなく、入船や出船といった離着岸まで自動で行うことが可能になりました。

これを実現するためには、推進機と係船機を同時に連携制御し、「港内操船」「離着岸操船」「係船作業」「係船管理」といった4つの作業に対応する必要がありますが、これらすべてを支援するシステムは世界初だといいます。

 風など気象の乱れや航行の妨げがある条件下で操船などを行うのは難易度が高く、だからこそ港湾内での離着岸作業は熟練の船乗りが担っていましたが、「安全離着岸支援システム」によってこれらは経験の浅い乗員でも実施できるようになるため、操船や係船の作業効率と安全性が大幅に向上するとしています。

 船種を問わず導入可能なこのシステムは、日本海事協会の基本設計承認(AiP)認証を申請中とのこと。また川崎重工は、この実証実験の成功を受け「安全離着岸支援システム」の受注活動を開始したことも併せて発表しています。

【こんな表示なのね!】これが「安全離着岸支援システム」のディスプレイです(画像)

最新記事

コメント