心を痛めるハンター 首都圏でジビエ料理提供、そこにある意味 JR東日本系飲食店で

首都圏にあるJR東日本系の飲食店で「ジビエメニュー」が発売されます。「狩猟で得た野生鳥獣の食肉」を意味する「ジビエ」。その料理を首都圏で提供することには、単なる目新しさにとどまらないビジネス上の目的と、考えさせられる「生命」に関わる背景がありました。

活用率わずか14% 心を痛めるハンター「殺しているだけだ」

 長野県などではシカなどの野生動物が増加し、農作物が食い荒らされる被害が大変多く、全国における被害総額は年間200億円以上。日本ジビエ振興協議会の藤木徳彦理事長によると、毎年農作物が食い荒らされることに嫌気がさし、農業を辞めてしまう人もいるといいます。

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メニューを監修した、日本ジビエ振興協議会の藤木理事長(2016年7月、青山陽市郎撮影)。

 そういった被害をくい止めるべく、各自治体は猟友会などに野生動物の駆除を要請します。しかし捕獲されたシカなどの肉のうち、活用されるものの割合は全国平均で14%、長野県ではわずか5%。土に埋めて捨てることも多く、ハンターたちも「無駄な殺生はしたくない」と、嫌な思いをしていたそうです。

 長野県の蓼科(たてしな)高原でレストランも営む藤木理事長はあるとき、ハンターに「“殺生”というからには、肉を生かさなければ殺しているだけだ」と言われ、衝撃を受けたとのこと。そして、駆除された動物の肉を料理へ生かすことを決意。これによって地方と都市部が結ばれ、高齢化が進むハンターのモチベーションも上がるといいます。

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