「舐めたらあかんぜよ!」防大初の女性訓練部長 振り返った30年の歩み「空自希望だったんだけどね…」
防衛大学校の訓練部長のポストに女性自衛官が就任しました。この訓練部長は、防大の女子学生第一期生として入学したヒトだとか。彼女の目に今の防大はどう映っているのか、海上自衛隊大好き漫画家が突撃取材してきました。
海自は第一希望じゃなかったんだけどね
実は防大の進路希望では空、すなわち航空自衛隊を志していたという東将補。しかし配属されたのはなんと海! 最初は戸惑いもあったそうですが、「海がいちばん自分に合っていた。人に選んでもらった道が意外と正解だったりするんです」という言葉には、与えられた環境を全力で楽しみ、糧にしていく姿勢がにじんでいました。

そうして海上自衛官の幹部になった東将補ですが、やはり女性ゆえの苦労があったとか。一例として挙げてくれたのは、艦艇乗員としてより専門的な「航海」に関する知識や技能を学ぶための中級航海課程です。
男性であれば護衛艦に乗り、実地で経験を積めるのに対して、東将補の時代は女性は護衛艦勤務ができず、実務内容の違いから同期の男性たちとの知識と経験の差に打ちのめされることもあったそう。しかし、ここで嘆いている暇はないと、がむしゃらに食いついて学んできたと言います。いまの女性自衛官にはそのような思いをさせなくて済んだと穏やかに語る東海将補ですが、その笑顔は誰よりもしなやかでたくましいと感じました。
その後、海上自衛隊で様々な配置を経て、副長や艦長などの要職を歴任。練習艦「かしま」では副長を務め、艦長がいつも後ろにいるという安心感がある立場としてのやりやすさを実感したそう。そして翌年ついに、練習艦「せとゆき」の艦長へ! 艦橋の艦長席に座ったときの感動は今も忘れないそうです。
しかし副長とは違い、経理や補給といった未経験の職域の責任にも直面し、その役割の重さを痛感したと話します。そのぶん任務ひとつひとつへの思いは強く「やりがいはとても大きかった」と笑顔で語ってくれました。
次回は隊司令として護衛艦「いかづち」に乗艦し、ソマリア・アデン湾の海賊対処任務に就いたときのお話をお送りします。お楽しみに!
Writer: たいらさおり(漫画家/デザイナー)
漫画家・デザイナー。夫のやこさん、娘のみーちゃんと暮らすのんきなオタク。海自にはまってからあれよあれよと人生が変わってしまった。著書「海自オタがうっかり『中の人』と結婚した件。(秀和システム)」「北海道民のオキテ(KADOKAWA中経出版)」各シリーズ発売中。
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