貨物列車のコンテナを「自動運転トラックへ載せ替えて運ぶ」一体なぜ? 国内初の実証スタート 列車より時間かかるけど…?

国内初となる貨物列車と自動運転トラックを組み合わせた「モーダルコンビネーション」の実証が始まりました。この新たな輸送モデルは、物流業界の課題解決につながるのでしょうか。

北海道の粉ミルクを自動運転で大阪へ

 日本通運とJR貨物、T2の3社は2025年6月23日、国内初となる自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた「モーダルコンビネーション」の実証を開始。その様子をJR隅田川貨物駅(東京都荒川区)で公開しました。

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貨物列車からトップリフターでコンテナを載せ替える様子(乗りものニュース編集部撮影)

 この実証に合わせ、JR貨物とT2で31フィートタイプのコンテナを共同開発。これを用いて貨物列車からトラックへコンテナを直接”載せ替え”することで、大型10トントラックとして運行します。

 初回の実証では、北海道の札幌近郊の工場で作られた雪印メグミルクの粉ミルクを輸送。札幌から隅田川駅までを鉄道で、そこから自動運転トラックにコンテナを載せ替え、大阪の百済貨物ターミナル駅(大阪市東住吉区)までトラックで運びます。高速道路上では、運転手が常に運行を見守る”レベル2″の自動運転を実施。なお、工場からの集荷と、大阪の配送先への輸送は日本通運が行います。

鉄道でそのまま運べばいいじゃん…?

 ただ、東京-大阪間という大幹線の輸送こそ、鉄道を使うべきと思うかもしれません。実際、通常の鉄道輸送のみであれば、札幌から大阪まで2日で運べるところ、今回の実証を行うことで4日に延びます。

 実証の目的は、「輸送の複線化」にあります。JR貨物の取締役で鉄道ロジスティクス本部長の土井広治さんは、「東海道線は一番人気のある路線ですが、災害時などに通れない時の代行手段として活用していきます」と説明しました。

 土井本部長は「モーダルコンビネーション」について、従来のモーダルシフト(トラックから鉄道への転換)とは異なり、各輸送モードの特性を活かしながら組み合わせることで、利便性向上やBCP(事業継続計画)への活用を図る仕組みだと説明。JR貨物は2024年1月にT2へ資本参加していますが、これには「幹線輸送力の拡充」と「災害発生時等の相互補完機能強化」を図る目的があります。

 T2の森本成城CEOは、今後の展開について「2025年7月からレベル2自動運転トラックを用いた輸送事業を開始し、2027年10月からレベル4自動運転に移行する」と説明しました。レベル4は運転手が乗車しない完全無人の自動運転で、限定された領域内でシステムが運転操作の全てを代替します。

「無人の10トントラックが走ることへの社会受容性を高めるため、運転手が乗っているレベル2の状態で2年間毎日運行し、安全であることを世の中に示したい」(森本CEO)

 同社は2032年には2000台規模での輸送を計画しており、その一部をJR貨物との連携に活用する予定です。

 ちなみに、今回は鉄道とトラックで載せ替えが可能なコンテナが開発されましたが、T2には、港から「海上コンテナを運べないのか」という要望もあるとのこと。自動運転に対応したトラクター・トレーラーの開発も将来的には視野にあると森本CEOは話します。

【スゲエ!】これが「貨物列車→自動運転トラック“コンテナ載せ替え”」の様子です!(写真)

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