超高高度の標的用ミサイル 発射成功 これで謎の気球やドローン飛んできても安心? フランス
フランス空軍がラファール戦闘機およびミラージュ2000戦闘機から赤外線誘導空対空ミサイル「MICA IR」を発射し高高度のバルーンを撃墜。
高高度の脅威は年々高まっている?
欧州機向けのミサイルを製造するMBDAは2025年7月7日、フランス空軍がラファール戦闘機およびミラージュ2000戦闘機から赤外線誘導型空対空ミサイル「MICA IR」を発射し、高度2万メートルを超える高高度に浮かぶバルーン標的の撃墜に成功したと発表しました。

この実験は6月23日、カゾー空軍基地においてフランス国防装備庁(DGA)と空軍の共同で実施されました。試験はMBDAのほか、CNES(フランス国立宇宙研究センター)やダッソー・アビエーションの支援を受けて行われ、高度かつ競合の空域における新たな空中脅威への対処能力が実証されました。
この取り組みは、2025年のパリ航空ショーにてセバスチャン・ルコルニュ軍事相が発表した、地球表面から高度2万〜10万メートルの範囲を対象とする「超高高度防衛」戦略の一環として位置付けられています。
ルコルニュ軍事相によれば、この大気圏層は、無人機、長時間飛行可能な気球、極超音速兵器などによる偵察・監視活動の脅威にさらされつつあり、欧州をこうした新たな高高度脅威から防衛するため、主権的かつ多層的な防空システムの整備が進められています。
なお、高高度の目標に対しては、すでにアメリカ空軍がAIM-9X「サイドワインダー」ミサイルを用い、中国の偵察気球と見られる高高度飛行体を撃墜した実績があります。
MBDAは「MICA IR」のほかにも、欧州のHYDISプログラムを通じて、高高度で飛行する極超音速および弾道ミサイルの脅威に対応可能な大気圏内迎撃システムを開発中です。同社によれば、このシステムの導入は2035年以降を予定しています。
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