「NATO加盟国」では異例!? “移動式弾道ミサイル”を発表 トルコがあえて開発する意味とは
トルコ初の短離弾道ミサイルとして開発中の「TAYFUN(タイフン)」が公開される。
射程800kmとされる短距離弾道ミサイル
トルコの防衛企業ロケットサンは2025年7月17日、同国初の短離弾道ミサイルとして開発中の「TAYFUN(タイフン)」を、7月22日から27日までイスタンブールで開催される防衛装備展示会「IDEF2025」で出展すると発表しました。

「TAYFUN」の一般公開は今回が初めてとなります。同ミサイルはトルコがこれまでに開発した中で最長射程を持ち、射程は500〜800kmとされており、短距離弾道ミサイル(SRBM)に分類される規模です。
将来的には射程1000kmを超える中距離弾道ミサイル(MRBM)タイプの発展型も計画されており、戦略的射程の拡大が視野に入っています。「TAYFUN」は高精度な誘導が可能とされ、目標誤差はおおよそ5m以内。さらに、海上を航行中の移動目標にも命中可能であることがアピールされています。
ミサイルは車載型の発射機から運用される移動式システムで、迅速な展開と離脱が可能。発射後に迅速に移動できることで、敵の報復攻撃を回避しやすくなり、生存性の向上が図られています。
注目すべきは、TAYFUNのような車載型(移動式)の弾道ミサイルをNATO加盟国が公然と開発・展示するのは極めて異例である点です。再配備を検討中のアメリカを除けば、NATO加盟国でこうしたミサイルを保有・発表している国は他にありません。トルコは、この分野で独自路線を進めていることになります。
最大射程800kmのTAYFUNは、ギリシャ、シリア、イラク、エジプト北部、さらに領有権を巡る対立が続くキプロス島も射程内に収めており、東地中海地域の戦略的バランスに与える影響は小さくないと見られています。
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