「自家用飛行機の免許取得、今までの半額でできますよ」米で発生の“空の改革”、なぜそんなことが可能に? 日本の現状とは雲泥の差
FAAが、アメリカの小型機の運用と操縦士免許に関わる大規模な制度の改定をついに実施します。どのように変わるのでしょうか。
FAA(アメリカ連邦航空局)はこの2年間、小型機の運用と操縦士免許に関わる大規模な制度の改定を計画してきました。2025年7月、世界最大の航空ショーといわれている「EAAエア・ヴェンチャー」内でついに、アメリカ運輸省長官のショーン・ダフィー氏が航空法の改定を行うと正式発表を行っています。どのように変わったのでしょうか。

今回の改正のベースとなっているのは、航空法の近代化を目指す「Modernization of Special Airworthiness Certification」、略して「MOSAIC」(発音はモゼイク)と呼ばれている改革です。日本よりはるかに先進的な航空行政と航空法をすでに施行しているアメリカが更なる航空の発展を目指すためには。現行の法制度では不十分であるとして、20年ぶりともいわれる連邦航空法の大規模な改訂を推し進めてきたのです。
2023年7月にMOSAICの概要がFAAより318ページにも及ぶ改定内容の概要が発表され、パブリックコメントの募集が行われました。意見の募集期間は当初予定の90日から6か月へと延長され、最終的に1300通を超えるコメントの応募があったと発表されています。ここには、業界団体や航空機使用者で構成される二つの大きな団体、EAA(全米実験航空機協会)とAOPA(航空機オーナーとパイロット協会)の強力な後押しがありました。
さて、この改定の骨子を見ていきましょう。内容は以下のとおりです。
今までLSA(軽量スポーツ航空機)の機体規模は機体重量600kg、最大速度時速120ノット(時速約222km)、最大2座席などの制約がありましたが、これらが大きく変更されます。機体の重量制限は撤廃され、最大速度の制限は時速250ノット(時速約463km)に。失速速度はフラップ(高揚力装置)を下げた状態で時速61ノット(時速約113km)以下もしくはフラップを使用しない状態で時速59ノット(時速約109km)以下であることが条件となり、この数値は今後の航空機設計において大きな意味を持つ指標となります。
そして座席数は最大4座、ただし操縦者の資格がスポーツパイロットの場合、パイロットと乗客1名の合計2名での運航になります。
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