大阪を沸かせたブルーインパルスの原型機が、2つの面で「取替え待ったなし」に危うい理由

「ブルーインパルス」の機体の原型である航空自衛隊のT-4中等練習機が墜落事故を起こし、37年の運用で経年劣化による問題が顕在化。もはや教育の目的にも合わなくなってきているT-4、後継機の議論も待ったなしです。

老朽化が目立つT-4

 T-4は2019年4月にも、搭載しているF3-30ターボファン・エンジンの「バッフル」と呼ばれる部品の機能不足が原因でエンジン内部を損傷する事故を起こしています。幸いこの事故で人的被害はなく、防衛省・航空自衛隊はバッフルを交換した機体から飛行を再開させました。しかし、原因究明までのあいだT-4は飛行停止を余儀なくされ、パイロットの教育訓練やブルーインパルスの活動などに支障が生じました。

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航空自衛隊のT-4練習機(画像:航空自衛隊)

「バッフルの機能不足」の詳細は明らかにされていませんが、同様の事故は2019年まで発生していません。このため、F3-30エンジンの経年劣化に伴い、設計時には十分な機能を持つと考えられていたバッフルが適合しなくなったという見方もあります。

 T-4は1988(昭和63)年に運用が開始されており、運用開始から今年で37年目となります。

 防衛省はT-4を含めたすべての航空機の運用コストを発表していないため、T-4の維持運用コストがどの程度なのかは筆者にもわかりませんが、アメリカ空軍は運用開始から15年を経過したあたりから、運用している航空機の維持運用コストが毎年3%から7%ほど上昇しているとの統計を発表しており、おそらくT-4の運用コストも2000年代中盤頃から上昇曲線を描いているものと考えられます。

 ただ、経年劣化に伴うトラブルの頻発や維持運用コスト以上に筆者が問題だと考えることもあります。もはやT-4が、今後の航空自衛隊のパイロット、とりわけ戦闘機パイロットの教育訓練に適合しなくなりつつある点です。

【確かに古い!】これがT-4のコックピット&“後継機候補”のコックピットです(写真)

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