大阪を沸かせたブルーインパルスの原型機が、2つの面で「取替え待ったなし」に危うい理由

「ブルーインパルス」の機体の原型である航空自衛隊のT-4中等練習機が墜落事故を起こし、37年の運用で経年劣化による問題が顕在化。もはや教育の目的にも合わなくなってきているT-4、後継機の議論も待ったなしです。

ただの「飛行士」はもう合わない?

 月刊航空雑誌「JWings」(イカロス出版)の2022年11月号には、F-35Aを運用する航空自衛隊第301飛行隊長を務めておられた井田好彦2等空佐(当時)の談話が掲載されています。そこにおいて井田2佐は、「従来の機種(戦闘機)は、飛行機をサポートする形でコンピュータが付いていましたが、F-35はコンピュータに飛ぶ機能が付いているというイメージ」だと解説しました。

 さらに「従来機の操縦者が“フライヤー”(飛行士)とするならば、F-35の操縦者は“システムオペレーター”と“フライヤー”と、ふたつの能力が必要になる」と指摘しています。

 筆者がこれまでお話をうかがった、T-4で教育訓練を受けた航空自衛隊パイロットの多くは「T-4は操縦性や安定性などの飛行特性に優れた航空機」だと述べています。この感想は事実だと筆者は思いますし井田2佐が仰るところの“フライヤー”の教育訓練は今でも十分可能でしょう。

 しかし、T-4は火器管制用レーダーや、他の航空機・地上のシミュレーターなどのデータをやり取りするデータリンク機能などを持ちません。アナログ計器が並んだT-4では“システムオペレーター”の教育訓練はできないと筆者は思います。

 航空自衛隊には今後、イギリス、イタリアと「GCAP」計画で共同開発を進めている新戦闘機など、F-35と同等、またはそれ以上に”システムオペレーター”としての能力が求められるであろう航空機が増加していきます。

 現在の航空自衛隊のパイロット、またこれからパイロットを志す人の持つ能力をフルに引き出していくためには、“システムオペレーター”としての教育訓練も行えるT-4後継機の早急な導入が必要だと筆者は思います。

【確かに古い!】これがT-4のコックピット&“後継機候補”のコックピットです(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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