「世界でもっと忙しい管制塔」どうさばく? 滑走路の使い方もカオス…支えるのは「海外では当たり前の優秀装備」の存在
アメリカにこの航空ショーの期間だけ「世界で最も忙しい管制塔」になる空港があります。この期間は滑走路の運用などもかなり特殊になりますが、なぜこの発着量をさばくことができるのでしょうか。
ADS-B、日本にはなぜ必要?
羽田空港のような最も忙しい空港の周辺空域は国際的には「クラスB」空域という特別な管制空域が設定されています。海外では、このクラスB空域に入る全ての航空機にはADS-B装備が義務付けられています。しかし、日本では同装置の使用すら奨励されていません。

この事故の最終報告書はまだ公表されていませんが、筆者は事故調査委員会がADS-Bについて報告書の中で言及するか注目しています。
ただし、ADS-Bを日本国内でも早急に普及させることが重要であると考えていますが、そこには機器導入費用という難しい問題が存在します。ADS-Bの装備を速やかに普及させるためにはどうしてもこの課題を解決することが必要でしょう。その方法として、航空機の安全性や信頼性向上のための修理や改造に関する許可申請費用を無償化すること、機器については政府が無償で貸与したり購入する場合の補助金制度を用意することが望ましいと考えています。
ADS-Bは世界で効果が実証されているばかりか、ICAO(国際民間航空機関)でも普及を呼びかけています。航空機同士の衝突事故防止には効果が実証されています。それをふまえて、保険会社もADS-Bを装備した航空機の保険料金を割り引く制度の導入も検討されるべきであると筆者は考えています。
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
コメント