部屋の広さは日本一!? 北海道行き“長距離フェリー”がまるでリゾートホテル 豪華16時間20分の旅

日本の長距離フェリーで、最も客室面積が広いのは、太平洋フェリー「きそ」「いしかり」のロイヤルスイートです。「きそ」は2005年に就航した船ですが、2025年現在もトップクラスの豪華船。就航20年を機に乗船してみました。

他とは一線を画した「目玉」客室

 6階の1等客室は、定員2人、広さ12平方メートル、ツインベッド、シャワー付きで、他の1等客室と同じです。また、特等洋室もあります。広さは17平方メートルで、定員は2~3人。1等との大きな違いは、シャワーではなく、バスルームであることです。

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太平洋フェリー「きそ」の最高級客室「ロイヤルスイート」(安藤昌季撮影)

 そして、豪華客室の「セミスイート」「スイート」「ロイヤルスイート」もこの階に配置されています。このスイート3クラスは、レストランの食事が無料サービスです。独立したトイレや窓のある浴室も備わります。

 セミスイートは32平方メートル、定員2~3人。クローゼット内に並ぶワイングラスが高級感を演出します。じゅうたんもふかふか。お茶のカップはノリタケ、スプーンはサントリーニとブランドもの。船長からのメッセージカードも特別感を演出します。

 セミスイートとほぼ同等の設備を持つのが、スイートです。違いは、スイートが角部屋なので、視界がより広いという部分。定員は2~3人です。

 そして目玉の客室が、ロイヤルスイートです。他のスイートとは一線を画したこげ茶色の重厚な内装。寝室と居室が完全に分離され、テレビもそれぞれに備わります。1室の床面積が52平方メートルというのは、日本一の広さといえます。「いしかり」のロイヤルスイートも同等ですが、高級感という意味では「きそ」の方が上だと感じます(取材なので、下船後に「きそ」の全設備を見せていただきました)。

 なお、筆者はスイートに宿泊しました。ベッドの寝心地も抜群です。ただ、揺れの少なさや静粛性は、他社の最新鋭船の方がやや上と感じました。豪華な設備や内装も感心しましたが、道具立てとして、シャンプーやリンスは独立して高級品を置いた方が、より非日常の物語を感じられるように思えました。また、テレビは、ベッドで寝ながら見るにはやや小さく思えます。

 7階は、特等和室が備わります。19平方メートル、定員2~3人、バスルーム付きの個室です。

 仙台港から北海道を目指して北上していた「きそ」は、翌日の定刻11時、苫小牧西港フェリーターミナルに到着しました。豪華な設備、豊富な船内イベントは2025年現在でも十分に魅力的でした。強いて言うなら、新婚旅行などでの利用も多いとメディアで報じられているので、「豪華個室向けの特別なサービス」や、レストランの素晴らしい内装に見合ったコース料理があっても良いのでは、と感じました。

【超豪華!】「きそ」の船内と客室をたっぷり見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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