爆速の「世界初のオールステンレス鉄道車両」その能力がスゴい! 功績は日本にも波及…車内の様子は?
技術的にも先進的で、鉄道技術史の1ページを飾る車両であったアメリカの「パイオニア・ゼファー」。“世界初のオールステンレス車両”として知られる同車両にはどのような特徴があったのでしょうか。
「世界初のオールステンレス車両」影響は日本にも?
颯爽と登場した「パイオニア・ゼファー」は速度記録を目指して高速走行試験が行われることになりました。1934年5月26日に実施された同車両の宣伝走行「日の出から日没まで」とでは、コロラド州デンバーからイリノイ州シカゴまでの1633kmが選ばれます。営業中の本線を使用した記録走行のため踏切には警備員が配置され、試験列車を優先するため他の列車は側線に退避するなどの措置が取られました。に
「パイオニア・ゼファー」はこの区間を無停車で走破し所要時間13時間5分の記録を達成。平均速度124km/h、最高速度181km/hは1930年代としては立派な記録ではないでしょうか。斬新な姿だけでなく、優れた走行性能も実証したこの列車は同年11月から営業路線にも投入され、同型の車両が複数の路線で活躍しました。
この技術に着目したのが1952年に東急車両の社長に就任した吉次利二氏でした。同氏は海外視察の時にブラジルでバッド社製のステンレス車両に乗車したことをきっかけに、バッド社と技術提携を締結しステンレス車両の製造を始めました。こうして作られたのが日本初のオールステンレス構造の東急7000系でした。古くからの鉄道ファンの中には、その後、東急車両製の電車の車内にバッド社との技術提携により製造された旨を示す銘板が貼られていたのをご記憶の方も多いのではと思います。
ステンレス車両は海水による腐食を防ぐため関門トンネルで使用されたEF10型やEF30型電気機関車で早くから採用されていましたが、それらの車両は外板のみがステンレスだったことから錆びを完全に防ぐことはできませんでした。東急7000系から始まったオールステンレス車両は外板だけでなく台枠や骨組みまで全ての構造部材がステンレスで作られているため、錆から解放されたことに加え、軽量で長寿命、さらに無塗装のためメンテナンスの費用も節約できる優れた特徴があります。そのため、現在では電車や気動車のほとんどがステンレス製です。「パイオニア・ゼファー」で実用化された技術が21世紀の今でも生かされているといえるでしょう。
その「パイオニア・ゼファー」は一編成がシカゴ科学産業博物館で保存されています。車内もきれいに復元され、展示室の壁一面にプロジェクターによる風景が投影されているので、座席に座ると車窓の外を流れる風景を眺めることができます。
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
重箱の隅つつくようで申し訳ないけれど日本の新造鉄道車両の約半分はアルミニウム車両ですわ。
>世界的に流線形というデザインが流行した時期がありました。これは日本だけではなく、アメリカでも同様で、
世界的にと言ってんだから、日本だけではなく〜のくだりは要らんでしょ
両バッド氏はGNではなくCBQで関わっている様に思いますが。