日本唯一!「バス×鉄道」の激レア乗りもの間もなく終了か? 利用者は多いのに…なぜ?

愛知県には「ゆとりーとライン」という公共交通路線があります。この路線では「ガイドウェイバス」という電車とバスの特徴を持った車両が走行しています。

電車とバスの特徴を併せ持つ「不思議なバス」

 トヨタ自動車やそのグループ企業などを持つことから、「クルマの街」として語られがちな愛知県。だからというワケではありませんが、県庁所在地である名古屋市には、独特な特徴を持つ交通機関が複数存在します。その1つが、志段味線こと「ゆとりーとライン」です。

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大曽根と高蔵寺を結ぶゆとりーとライン。写真は小幡緑地駅のモードインターチェンジ部分。ここで軌道から一般道に降りる(柘植優介撮影)。

 この路線の特徴は、「ガイドウェイバス」という、バスと鉄道の長所を併せ持った、極めて珍しい車両を運用している点でしょう。ただ、世界的にも珍しいシステムだけに悩みもあるようです。

 このゆとりーとラインが開業したのは2001年のこと。愛知県名古屋市にある大曽根駅を起点に、同市の東区と守山区、隣接する尾張旭市を通り、最後に春日井市の中心街である高蔵寺停留所まで結んでいます。

 これだけ聞くと、名古屋市北東部とその周辺のベッドタウンを結ぶバスの1路線にしか見えません。しかし、ゆとりーとラインの知名度を押し上げているのが、採用車両であるガイドウェイバスです。

 ガイドウェイバスは、パッと見、普通の路線バスのような外観をしています。しかし走行するのは、高速道路のような高架橋にある軌道上です。この際、車両の前後輪に取り付けられた案内輪が下部から展開。運転手はハンドル操作をすることなく、壁に沿って電車のように進んでいきます。

 そして守山区にある小幡緑地駅を過ぎると、案内輪を収納。高架橋から降りて一般道に入り、ここからは運転士がハンドルを握って普通のバスと同じように道路上を走行します。その後は各地の停留所に寄りつつ、春日井市の高蔵寺停留所まで向かいます。

 このように、ガイドウェイバスは大曾根駅~小幡緑地駅間は「電車」、小幡緑地駅~高蔵寺停留所間は「バス」という、2つの姿を使い分ける公共交通機関になります。実際、高架橋にいる時は軌道法に基づき「鉄道」の扱いを受けますが、平面道路区間においては通常の「バス」の扱いを受けている模様です。

 同種の交通システムは、ドイツやオーストラリアだと実用化されているそうですが、日本ではゆとりーとラインに採用されたのが初めて。大変珍しい交通機関といえるでしょう。

【ホントだ!】走行中、ハンドルから手離したままのバス運転手(写真)

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