横断歩道と思ったら線路!? 「路線図にない路線」の“珍踏切” 信号はなぜか“歩行者用”

山口県岩国市の日本製紙岩国工場では、JR岩国駅と工場を結ぶ専用線を介した貨物輸送が行われ、製品を載せたコンテナ貨車が日々行き来しています。この専用線には、思わず二度見してしまうような珍スポットもあります。

見上げれば歩行者信号? 専用線の珍風景

 この専用線には、見どころがもう一つあります。

 工場の手前、専用線と県道110号線(産業道路)が交わる踏切に停止・進行を示す鉄道用の信号機が設置されているのですが、よく見るとそれは、歩行者用の信号機と同じ形式のものなのです。

 しかし歩行者用のものとは異なり、人のシルエットは表示されません。設置場所もかなり高く、ポツンと取り付けられた姿はなんとも個性的。道路信号とこの鉄道用信号は、柱に取り付けられた小箱のスイッチで操作しているようです。歩行者用の信号が青になると入換用機関車がコンテナ編成を引いて発車していく様子は、なんだかユニークです。

 ちなみにこの踏切に警報器はありませんが、信号機が操作されると警報音が鳴り響きます。遮断棒もないため、遮るものがないまま目の前を貨車が過ぎ去る姿は初めて見ると驚きを感じます。もちろん、列車運転時には運行を担当する係員(岩国産業運輸が担当)が交通整理にあたり、安全には最大限の配慮がなされています。

 路線図にも時刻表にも掲載されていない線路。そこで運ばれるのは意外と身近なものだったりするのです。

【歩行者用信号じゃねえか…】これが「路線図にない珍踏切」です!(写真)

Writer:

幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。

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