「8割の区間が廃止された鉄道」沿いの“高速”まもなく延伸! インフラのレベルが違いすぎる…!
旧JR日高本線沿いの高規格道路「日高道」がまもなく延伸。その区間は廃線になった鉄道と国道の現道、そして日高道と3世代のインフラが並行しています。
日高道が新冠まで延伸
北海道の苫小牧市から南東へ延びる「日高道」が、2025年度にも延伸する予定です。2021年に、8割の区間にあたる約116kmが廃止された旧JR日高本線沿いの街へ、高規格道路が延びていきます。

日高道は、苫小牧市から浦河町に至る計画延長約120kmの高規格道路です。これまでに道央道の苫小牧東IC(起点)から日高厚賀ICまでの59.9kmが開通しています。
苫小牧東ICから次の沼ノ端西ICまでがNEXCO東日本の管轄で有料ですが、それ以外は通行無料の高規格道路として整備されています。その無料区間も含め、厚真ICまでの約20kmはほぼ4車線と、規格も高いです。全線を1時間前後でスムーズに走れます。
今回延伸するのは、日高厚賀ICから新冠(にいかっぷ)ICまでの9.1kmです。次の静内ICまでの事業名「厚賀静内道路」(16.2km)が部分開通する形となります。
同様のルートをたどるJR日高本線は、その8割の区間が災害で2015年以降運休に追い込まれ2021年に廃止されましたが、入れ替わるように通行無料の日高道が延伸しています。
日高道の沿線は、海側から旧日高本線(廃線)、国道235号(現道)、日高道と、いわば3世代のインフラが並行しています。厚賀静内道路の区間に並行する旧日高本線は、極めて海に近い崖下を通る区間もあり、廃止以前から災害の影響を受けてきました。
国道235号は鉄道よりも高台を通っていますが、日高道はさらに高い丘陵地を通り、深い谷を高架橋でまたいで津波浸水区間を回避しています。沿線は日本有数の競走馬の産地であり、実際、馬の輸送車がよく走っているほか、日高道は牧場を横切る区間が多く、放牧された馬の姿も見かけます。
その日高道が延伸する新冠町。2015年から列車が走らなくなり、廃線を経た旧新冠駅は、ホームなどを残しつつ駅舎は「出会いと憩いのセンター」として改築され、駅前のバス停も「新冠農協前」となっていました(農協が向かいにある)。駅から農協側の線路もきれいに剥ぎ取られています。
一方で、日高厚賀ICから新冠ICまでのあいだの旧日高本線の線路跡は、災害を受けた路盤がそのままとなっている箇所も。時の流れとともに、インフラの“レベルの違い”もまざまざと実感させます。
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