三菱の大型客船撤退 日本の造船業、いまが「我慢」のしどころか

2016年10月、三菱重工が大型客船の建造から手を引くことを表明。日本の造船業は苦しい状況に置かれていますが、一方で、欧州の造船所は客船建造の順番待ちが発生しているなど、必ずしも「不況」というわけでもありません。いま日本の造船業界に、何が起きているのでしょうか。

三菱重工、舵取りは正しかった? かつて下した「決断」

 現状を鑑みれば、三菱重工が2011(平成23)年に一般商船を諦め、付加価値の高いLNG(液化天然ガス)運搬船や大型客船に建造を絞り込み、同年11月に「AIDA prima」、そして現在建造中の第2船「AIDA perla」を受注したことは、判断としては間違いではありませんでした。

 もしかしたらいまごろ、三菱重工の長崎造船所には、大型客船の受注残がたくさん、並んでいたかもしれません。「ただし、『AIDA prima』の建造に失敗していなければの話」(同ブローカー)というわけです。

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かつて戦艦「武蔵」も建造された、三菱重工・長崎造船所の本工場(2014年2月、恵 知仁撮影)。

 日本のメディアでは「中韓造船業の台頭に苦戦」して、つまり折からの造船不況のなか、発注が中韓へと流れ、その潮流が三菱を直撃したがゆえの撤退、という論調がありましたが、しかし現実にはかなり様相が違うといわざるを得ないのです。

 日本の重工各社の造船部門は、何度も造船市況の谷を経験していますから、三菱重工に限らず、バルクキャリア(梱包されていない穀物や鉱石などのばら積み貨物用に設計された貨物船)や石油タンカーといった市況に左右されやすい商船から撤退したり、大幅に縮小したりと、新たな道を選択していました。

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