「北九州空港に小さな珍飛行機降臨」→他国では普通…なぜ? 浮かぶ“日本の航空行政”の課題とは

北九州空港に韓国から「軽量スポーツ航空機」が初めて来日しました。ここで浮かび上がってきたのは、日本の航空行政の課題です。どのようなものなのでしょうか。

「日本では実験機」なぜ?

 このLSAですが、先述の通り実は日本では実験機扱いです。世界の多くの国々がLSAを正式な航空機として認めているのにもかかわらずです。そのため、飛行には多くの制約が伴い、実用機として運航することはほぼ不可能な状態になっています。

 現行の航空法では、日本国籍のLSAは管制空域を飛行することができませんが、外国籍のLSAは飛行が可能というおかしな状況が生まれています。今回の来日は韓国籍のLSAであることから、普通の航空機として管制空域を飛行して北九州空港に着陸しました。この現状は法的整合性がないばかりか、合理的ですらない“矛盾”と筆者は考えています。

 LSAは製造や運航など多くの面で規制が緩和されていますが、座席数は2座席まで、機体の総重量は600kgなどの条件がありました。アメリカでは今年、航空法の大規模な改訂が予定されていて、LSAに関する制約が大幅に緩和されます。一例をあげると、座席数は4座席に、機体重量の制限は撤廃になります。

 アメリカでは新しい航空法が本年10月中旬より施行される予定で、この新しいLSAのルールが適用されると、4人乗りの単発機はそのほぼ全機種がLSAの条件を満たすことになります。これをうけて、各国もアメリカの動きに追従する動きを見せています。

 一方で日本だけがLSAを実用機として認めていません。このままでは、日本は航空の分野で世界から取り残されることになるでしょう。

【写真】えっ…これが「北九州空港に飛来の日本じゃ珍飛行機」全貌です

Writer:

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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