日本最北の「巨大な新幹線車両基地」が大幅に増強へ 札幌延伸を見据えパワーアップ! 屋根ですっぽり覆われる!?

札幌延伸を見据え、北海道新幹線唯一の総合車両基地である「函館新幹線総合車両所」の増強に向けた動きが本格化します。

「函館新幹線総合車両所」増築に向けた動きが本格化

 北海道新幹線では、新函館北斗~札幌間の延伸工事が進んでいます。一部の区間で工事が難航していますが、北海道新幹線唯一の総合車両基地である「函館新幹線総合車両所」の増強に向けた動きが本格化します。鉄道・運輸機構は2025年10月1日、車両基地の増築工事を今年度第4四半期に発注することを明らかにしました。

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北海道新幹線の車両(画像:写真AC)

 函館新幹線総合車両所は、2016年3月の北海道新幹線開業に合わせて開設された車両基地です。検修設備と工場機能を持つ新幹線の総合車両基地の中では、最も北にあります。敷地面積は約36万平方メートル(東京ドーム8個分)と広大で、北海道新幹線の車両「H5系」3編成30両が所属しています。

 敷地内には、新幹線4編成を収容可能な「着発収容庫」、日常的な車両検査を行う「仕交検庫」、車両を分解する大掛かりな「全般検査」が可能な工場機能、保守用設備などを備えています。「着発収容庫」や「仕交検庫」は防雪対策として、屋根で覆われた建屋構造となっています。また、2022年3月に発生した福島県沖地震で廃車となったH5系が、10両編成から6両編成に短縮されたうえで教育・訓練用として敷地内に留置されています。

 開設当初から札幌延伸時の増強を前提に建設されており、新設される設備の用地は既に確保されています。札幌延伸時には車両数が増えるため、「着発収容庫」に線路を8本増設し、最終的に新幹線を12編成収容することを可能にする計画です。さらに、電気・軌道総合試験車の機器類検修などを行う「総合試験車線」も1線新設されるほか、保守用車庫なども増築される計画です。

 今回の増築工事では、着発収容庫(延べ9200平方メートル)、総合試験庫(延べ約3000平方メートル)などの建築工事のほか、土木工事が予定されており、工期は約48か月間です。

 なお、北海道新幹線をめぐっては、函館新幹線総合車両所だけでは札幌延伸時に車両基地が足りなくなるため、札幌車両基地も着工しています。こちらは高架形式で、防雪上屋によってすっぽり覆われた細長い構造が特徴。新幹線札幌駅から、在来線の次の駅である苗穂駅付近まで、札幌市の中心市街地を縫うように延々と伸びていく異形の構造となります。函館新幹線総合車両所のような全般検査の機能は備えず、日常的な仕業検査のみに対応します。

【航空写真】デカい!これがさらに拡張される「函館新幹線総合車両所」です

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