「ゴミがゴミを呼ぶ」幹線道路沿いのゴミ銀座 そこで「ゴミを捨てる」ドライバーの心理とは? 「不満のはけ口」の可能性も
幹線道路の渋滞が起きやすい場所、あるいは人目につきにくい場所でゴミの不法投棄が問題となるケースがあります。交通心理士によると、これには集団心理や「道路上の匿名性」が関係していると指摘します。
幹線道路沿いで、人目に付きにくい場所で「ポイ」
幹線道路の一角。信号待ちなどで渋滞が起きやすい場所や、ちょっと人目につきにくい場所などでは、ちょうど運転席のすぐ脇の金網に、ゴミのペットボトルがやたらと挿さっていたり「ゴミがゴミを呼ぶ」とばかりに、ゴミの不法投棄が重なり問題となるケースもあります。

なかでも道路管理者が頭を抱えるのが、「排泄物入りのペットボトル」です。2018年にある国道事務所がポイ捨ての多いバイパス道路のIC周辺のゴミを調べたところ、捨てられていたペットボトルの20%が排泄物入りだったということも。それらは国土交通省の職員が1本1本、中身を流して処理したという涙ぐましい話もあります。
おそらくは心ないドライバーが捨てているのだと思いますが、実際どのような心理なのでしょうか。トラックドライバー向けのポッドキャスト『プロフェッショナルドライブ』の配信もスタートさせた、元トラックドライバー・交通心理士で近畿大学・理工学部の島崎 敢准教授に聞きました。
島崎准教授はゴミが捨てられる背景について、ある種の集団心理に加えて「道路上の匿名性が助長するケースもあるのでは」と指摘します。
「幹線道路の渋滞地点などでの、『クルマからのゴミの不法投棄』は、社会的規範の影響が大きいと考えられます。最初に誰かが捨てると、それが『ここは捨てても良い場所』『みんなやっている』というある種のサインとなり、後続の人の心理的ハードルを下げてしまうものです。言うまでもなく『不法にゴミを捨ててはいけない』というルールがあるのですが、人間は明文化されたルールより、周りの人の行動やその場の雰囲気に強く影響を受けてしまう場合があります」(島崎准教授)
そのうえで、指摘するのが「道路上の匿名性の高さ」による影響です。
「路上は匿名性が高く、誰が捨てたのか特定されにくいことも、不法なゴミ捨てを助長させてしまうこともあると思います。
また、ドライバーの中には『そもそもクルマの中で出たゴミを捨てる場所が限られている』『税金を払って道路を利用しているのに、クルマの中のゴミ処理の環境が整っていない』といった不満から、意図的に行動している場合もあるかもしれません」(島崎准教授)
コメント