燃費考え下り坂で「エンジンOFF」は超危険 燃費が良く安全なのは「エンジン活用」

エコドライブのつもりで、下り坂でクルマのエンジンを切ったり、ギアをニュートラルにしたりする人がいるようです。これは大変危険なうえ、燃費的にもほぼ無意味な行為。燃費向上には、クルマの免許を持つ人ならだれもが知るはずの、もっといい方法があります。

エンジンがかかっていないとブレーキも使えない?

 最近は、「エコドライブ」を心がけるクルマのドライバーが増えています。行きすぎて、下り坂でギアをニュートラルにしたり、エンジンを切ってしまったりする人もいるそうですが、これは大変危険です。日産の広報部も「メーカーとしては想定していませんし、絶対にしないでください」といいます。

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一般的なクルマのフットブレーキには「倍力装置」ともいわれる「ブレーキブースター」が備わっているが、エンジンや電源を切ると作動しなくなる(写真出典:stepanpopov/123RF)。

 まずエンジンを切ってしまうと、フットブレーキがほとんど利かなくなります。十分なブレーキ力を確保するため、クルマには「ブレーキブースター」という装置が搭載されていますが、エンジンがかかっていない場合、EV車なら電源が入っていない場合、作動しないからです。エンジンや電源を切った状態でブレーキペダルを踏むと、重くて踏み込めないのはそのため。パワーステアリングが利かなくなるクルマもあるので、さらに危険です。

 ニュートラルギアで下り坂を走るのも、エンジンブレーキや回生ブレーキ(ハイブリッド車、EV車)が使えなくなるため、大変危険です。フットブレーキのみで走ると酷使されたブレーキパッドが発熱し、効きが悪くなる「フェード現象」の発生可能性が高まります。また、ブレーキの力を伝達するのが液圧系の場合、これが加熱され内部に蒸気(vapor)の気泡ができる「ベーパーロック現象」が発生することも。気泡が圧力を吸収してしまうため、フットペダルを踏んでも力が伝わらず、ブレーキが利かなくなります。

 とはいえ、エンジンブレーキを利かせるため低いギアに入れると、エンジン音が大きくなることから、「燃料を無駄にしているのでは」と思う人がいるかもしれません。確かに音はもちろん、エンジン回転数のメーターも上がるため、アクセルを踏み込んだときと同じように見えます。しかし実は、「エコドライブ」を意識するならば、このエンジンブレーキを上手く使うべきなのです。

意外と知られていない? 燃費向上に役立つエンジンのある機能

 最近のエンジンには「フェールカット」という機能が搭載されています。アクセルペダルを踏んでいない状態でエンジンの回転数が高い場合に、エンジンへの燃料供給をいったんカットし、所定の回転数まで下がったらこれを回復させるというものです。つまりエンジンブレーキを利かせている際には、エンジン音が大きくなったとしても、燃料はエンジンに送り込まれていないので、燃費の向上につながるのです。

 下り坂をエンジンオフやニュートラルで下るのは、事故の可能性を増大させるハイリスクな行為。下り坂で最も燃費を節約でき、かつ安全な運転方法は、エンジンブレーキを効果的に使うことなのです。またハイブリッド車やEV車でも、ニュートラルにするとブレーキ力が得られず危険なうえ、燃費向上の機会を逃します。

「ハイブリッド車やEV車の場合だと、下り坂は『回生ブレーキ』でバッテリーを充電できる機会なので、燃費的には、普通に走行したほうがむしろ良くなります。ニュートラルでの走行は、それを無駄にするということです」(日産広報部)

「エコドライブ」と称して無茶な運転をしても、万が一、事故を起こしてしまえば燃費以上の金銭的、そして社会的な責めを負うことになります。一番のエコドライブは「普通に」運転することでしょう。

下り坂でのエンジンブレーキ、「燃費」以外にもあるメリット

 エンジンブレーキを使用せず下り坂を走ると、「クルマの重心がふらつくため危険」と、フジドライビングスクールの田中さんはいいます。

「下り坂を走行中にアクセルを離していれば、エンジンブレーキが常にかかり続けるので、クルマの重心は前にあり続けます。つまり前のタイヤへ常に圧がかかるため、安定した操舵(ハンドリング)やフットブレーキ操作が可能になります。そのため、下り坂ではエンジンブレーキを利かせていることが、クルマをいちばん安定させられるといえるのです」(フジドライビングスクール、田中さん)

 ただ、平坦な道で高速走行中に、エンジンブレーキを利かせようとギアを落とすことは、実は危険な場合があるそうです。

「前輪駆動であれ後輪駆動であれ2輪駆動車の場合、エンジンブレーキが利くのは駆動している側のタイヤだけなので、フットブレーキを併用しないとクルマの安定を欠くことがあります」(フジドライビングスクール、田中さん)

 エンジンブレーキを上手に使うこと、エコであるのはもちろん、なにより安全なドライブのため大切なことといえそうです。

【了】

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コメント

8件のコメント

  1. 走行中にアクセルを完全に放すと、瞬間燃費計には「99.9km/L」と表示されます。つまりエンジンブレーキ中はガソリン消費してないという事。(ウチのクルマ(フツーの軽)は∞が表示できないからの99.9)

    下り坂に限らず平地でも、走りながらいかにアクセル放し切るかを意識するとエコになります。例えば赤信号に向かって加速し続けて直前で急ブレーキかける走り方(これも危険だね)と比較してみてください。

  2. 機械式キーのクルマで走行中のエンジンカットが「可能」なのはわかるが、電子式キーとON/OFFスイッチのクルマでも走行中のエンジンカットは可能なのか? 何かするとアイドリングストップ状態と誤認させられるのか?

  3. エンジンoffは車として機能しないので論外ですが、ニュートラルについてはちょっと議論が弱いかな。

    そもそも燃費のためニュートラルにしたがる人は、ニュートラルでフットブレーキが必要なく、アクセルオフで必要な速度を維持できない場面(微傾斜下り坂や下り坂で加速が必要な場所)でニュートラルにするので、そこでいきなりブレーキ酷使やアクセルオフの方がいいと論じるだけでは弱いかなあ・・・と。

    コントロール難しくニュートラル故不安定で、注意散漫にもなる運転を公道でやると危険で迷惑!素直にアクセル軽く踏んで安全運転しろ!と言っちゃった方がいいと思います。

    フュエルカット機能を「最近の車には」というのも・・・もう相当昔になってしまいました。

    しかしそんなにも推奨されない運転中Nレンジ、なぜ運転中ああも簡単に入るようになっているのでしょうか?

    RやLレンジ同様、簡単には入らないようになっててもいいと思うのですが。

  4. 柳沢峠の下りとかで昔はよくやったよ。マニュアルミッション・キャブレター車の時代の話だが。何しろ20Km近くエンジンオフで走るんだからそりゃ実際に燃費もよくなったしね。今の電子制御車でそれをやるアホは居ないでしょう。

  5. 自動車学校での免許取得時、警察での免許更新時の呆れる程の教習内容の薄さに

    原因がある。みっちりと構造、作動原理を覚えさせ、テスト不合格者には

    取得や更新をさせない仕組みが必要だ。

  6. (不明コメント)

    • 欧州製6速MTユーザーとしてはエンジンブレーキの減速が嫌ならシフトアップすればよろしいかと。

      ところで、トヨタHVの「滑空」とは回生抵抗による減速とエンジン点火による燃料消費をアクセルワークで制御する(回生ブレーキを利かさないためにアクセルオフはしないが、加速用にエンジンが点火されないほどアクセルオンはしない)こと、要は内燃機のパーシャルスロットと同等に使ってますが、Nモードでの惰行なんですか?

  7. エンジンオフにした結果、ハンドルロックがかかりハンドル動作が出来ず曲がりきれず事故というケースもありますね

  8. 85年製の車は「最近の~」に入るのだろうか?コンピュータは積んでいるようだが…

    こういうのを見るたびにどこかで付きっ切りで正しい知識を教えてくれるところはないだろうかと思う。

    教習所に通っていたころに横で教えてくれていたのかもしれないが、当時はエンジンを落とさずに前に進むことに必死で碌に聞いちゃあいなかったからね。

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