谷底まで200mの橋、建設で最も怖いのは「住民」 開発と環境の両立、スイス流の答えとは
自己主張が強いものは排除
自然保護団体と当初から関係を築きながら進めることについて、現在、大規模改修を行っているスイス中部の「ビュルゲンシュトック・レイク・リゾート」の広報マネジャー、ラファエル・アムレインさんは次のように話します。
「大規模改修について反対意見はありましたが、最初から関係団体と話をしながら進めてきました。そして『持続可能なものを作る』ということ、雇用の確保に繋がることから、受け入れてもらうことができました」
「持続可能(な開発)」とは、「環境」と「開発」を反するものではなく共存しうるものととらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が重要とする考え。スイスでは「持続可能」が大きなキーワードになっており、そうした「人」と「自然」の両立を図る「スイス流のやり方」が、土木工事からもうかがえます。ちなみに「ビュルゲンシュトック・レイク・リゾート」には、女優オードリー・ヘップバーンが結婚式を挙げたチャペルがあります。
また、スイス土木建築協会のダニエル・マイヤー副会長は、次のように話します。
「スイス人は地形的なこともあって土木へ高い注目があり、橋やトンネルは非常に重要です。そして『環境にフィットしたものを作らねばならない』という価値観があり、点と点を結ぶだけではなく、『環境の一部』として作ります。そのため、同じ橋はふたつと無いはずです」
「タミナ橋」のプロジェクトマネジャー、ナルドネさんも、その橋のデザインコンペにおいて、自己主張の強いものは排除し「調和」を重視したとのこと。選ばれたデザインは、橋の柱の角度が谷の角度に合わせられているそうです。
この「タミナ橋」は、2017年の開通が予定されています。
●取材協力:在日スイス大使館
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