「ダッシュボードにぬいぐるみズラリ♪」 なぜクルマを「部屋化」するのか?専門家が指摘するその心理とは
フロントガラスにぬいぐるみを飾ったり、クラブ風照明に改造したりと、クルマを自分の部屋のように飾る人がいます。この行動の裏にある心理とは何なのでしょうか。
日本だけでなく世界各地で見られる「クルマの部屋化」
ダッシュボードにぬいぐるみをズラリと飾ったクルマ、シートにハイビスカスのレイをかけたサーフブランドファンのクルマ、クラブ風照明に改造しアーバンな空間を表現するヒップホップ好きのクルマ、はたまた古典的なレースのヘッドカバーや、なぜかリアにティッシュを置くクルマなど――。
                
                  
                今も昔も、人は「クルマを自分の部屋化」しがちですが、これはオーナーのどのような心理から来るものなのでしょうか。
交通心理士で近畿大学・理工学部の島崎敢准教授によると、こういった「クルマを部屋化」する例は日本だけでなく、世界的にみられるものだと言います。
「例えばパキスタンでは『トラックアート』と呼ばれる文化があり、貨物トラックを極彩色のペイントや装飾で埋め尽くし、まるで移動する芸術作品のように仕上げます。
フィリピンの『ジープニー』も、派手な色彩や宗教的・家族的モチーフを描くことで、所有者の個性や誇りを表現しています。
タイのタクシーでは仏像や花輪を飾って『移動する祭壇』にすることが多く、インドネシアの乗合ミニバンではLEDやスピーカーを詰め込んで『娯楽空間』に改造する例もあります。
また、インドではダッシュボードに神像を置いて運転の安全を祈る習慣があります」(島崎准教授)
肝心の「クルマを部屋化」する心理について、島崎教授は「あくまでも一つの推測だ」としながらも以下のように説明できると言います。
「人間は誰しも、自分が持つ空間を、自分好みに変えて所有感や安心感を強めようとします。こういった行動は、環境心理学では『領域性』『心理的所有感』と呼ばれ、自分のアイデンティティを空間に投影する行為とされています。
特にクルマは毎日使う『移動する部屋』でもあるので、そこに自分の趣味や信念を反映したくなるのはごく自然な心理といえるでしょう」(島崎准教授)





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