日本の「改もがみ型」護衛艦、“第三国”も導入か!? オーストラリアだけで終わらない“必然” ただし壁も
日本のもがみ型護衛艦をベースに、オーストラリアが日本と共同開発する新型フリゲートが、早くもニュージーランドへ“輸出”の可能性が出てきています。その流れは歴史的経緯からして必然ともいえるものです。
経緯を考えれば必然?
オーストラリア海軍とニュージーランド海軍は1960年代から70年代初頭にかけて、イギリスからロスシー級フリゲートとリアンダー級フリゲートを導入していますが、これは両国が歩調を合わせたわけではなく、オーストラリアがロスシー級とリアンダー級の準同型艦を国内建造したのに対し、ニュージーランド海軍はイギリスで建造された艦を、そのまま導入しています。
このため、オーストラリア海軍とニュージーランド海軍は、ロスシー・リアンダー両級の後継艦計画を別々に進めていたのですが、元々オーストラリアとニュージーランドは緊密な防衛協力関係を構築していたことから、両国海軍の計画は一本化されることとなり、その結果として誕生したのが、アンザック級とテ・カハ級フリゲートというわけです。
2隻が導入されたテ・カハ級は、オーストラリアの造船所で建造されていますので、ニュージーランドが日本とオーストラリアが共同開発を予定しているフリゲートを導入することになれば、テ・カハ級と同様に、オーストラリアで建造される可能性が高いと考えられます。
更新は2隻 メリットは?
オーストラリア海軍は11隻の新型フリゲートの導入を予定していますが、このうち8隻はオーストラリアで建造される予定になっています。
同国の造船能力は以前に比べて低下しているとも報じられているため、新型フリゲートをオーストラリアで建造する体制の構築に向けた日本の支援は不可欠ですし、ニュージーランドが同型艦を導入するのであれば、テ・カハ級から新型への移行をスムーズに行うためにも、日本の支援を一層手厚くする必要があると思われます。
前に述べたようにアンザック級フリゲートの後継艦は日本とオーストラリアの共同開発という形になっています。これはイギリス、イタリアとの共同開発計画「GCAP」で開発される新戦闘機にも言えることなのですが、日本と外国が共同開発する防衛装備品の第三国への輸出に関しては、今のところ明確な規定がありませんので、明確化のための法整備や、防衛装備移転三原則の見直しなども必要となるでしょう。
テ・カハ級の後継艦の建造数は、おそらく同級と同じ2隻でしょうから、産業面だけで見れば大きなメリットは無いと思われます。
しかしニュージーランドは国連安保理決議に基づく北朝鮮(朝鮮人民民主主義共和国)の「瀬取り」の監視活動に参加するなど、日本の国是と言っても過言ではない「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた同志国です。ニュージーランドの防衛力強化に協力することは、日本の安全保障をより盤石なものにしていく上で、大きなメリットがあると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。





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