東京駅まで行かない「大宮駅始発・終着の新幹線」実現なるか? さいたま市が国へ要望 かつては臨時列車で存在

現在、JR東日本の新幹線で、大宮駅を始発・終着駅とする列車はありません。その実現をさいたま市が国へ要望し、JR東日本も検討する方針を明らかにしました。

JR東も「大宮駅新幹線ホームの活用」検討

 さいたま市は2025年11月5日、「新幹線の大宮駅始発復活に向けた支援」などを盛り込んだ来年度の国の施策・予算に対する要望を国土交通省に提出しました。また、JR東日本は10月31日に公表した決算説明資料において、新幹線の輸送力を増強するため、上野駅や大宮駅の新幹線ホームを活用していく方針を示しました。

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東北新幹線(画像:写真AC)

 大宮駅の新幹線ホームは3つ(3面6線)もあり、JR東日本の新幹線駅では最大規模です。そのうち、中央にあるホームの15・16番線は比較的使用頻度が低く、ホームが2つ(2面4線)しかない東京駅と比べれば容量に余裕があります。

 1983年に東北・上越新幹線が開業した当初は、全列車が大宮駅始発・終着で、上野駅との間は在来線の連絡列車「新幹線リレー号」で結ばれていました。東北新幹線の東京駅延伸が実現した現在、定期で大宮駅を始発・終着とする列車はありません。

 ただ臨時便では過去に大宮駅始発列車が設定されたことがあり、2017年度に6本、2018年度に13本、2019年度に20本、2020年度に13本が運行されています。特に、大宮を6時ちょうどに発車し、新函館北斗に9時41分に到着した臨時列車「はやぶさ101号」は、到着地での滞在時間を長く確保することができ、利便性が高い列車でした。

 その後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、大宮駅始発・終着列車に関しては設定されない状態が続いています。東京駅発着の定期列車と比べると訴求力が落ちるため、臨時列車も基本的に東京駅発着で運行されているのが現状です。

 ただ、2024年度の大宮駅新幹線乗降客数は、コロナ禍前を超える過去最高の3万2143人(前年度比105.8%)となっており、需要は回復傾向にあります。

 さいたま市は、新幹線の東京~大宮間が、各方面の新幹線が集中する「運行上のボトルネックとなっている」と指摘。同区間は走行速度が制限されることも踏まえ、「速達性などの観点から、大宮駅を始発とすることに一定の合理性がある」としています。

 今回の要望では、首都圏が果たすべき役割や方向性を定めた国交省・関東地方整備局の指針「首都圏広域地方計画」において、大宮が「東日本の玄関口」に位置付けられたことも踏まえ、国に対して大宮駅始発・終着列車の復活に向けた働きかけへの支援を求めた形です。

 JR東日本は、先月末に公表した2026年3月期・第2四半期の決算説明会資料において、モビリティの収益力向上施策として、「利用状況を踏まえた列車の設定や車両新造などにより、ニーズに合わせた輸送キャパシティの実現を目指す」方針を示しました。その一例として、「上野駅や大宮駅新幹線ホームを活用し、輸送力を高める」としており、しばらく運転が途絶えていた大宮駅始発・終着列車が復活する可能性があります。

 なお、さいたま市は臨時列車だけでなく、定期列車を含めて大宮駅始発・終着列車の復活を目指すとしています。

【画像】復活なるか?これが「便利な大宮始発の新幹線」運行時刻です

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