物流の主役「767」生産終了へ 後継の本命「787貨物機」なぜ出ない? ハイテク機ゆえの“意外な弱点”とは

航空貨物の世界で「最強の使い勝手」を誇るボーイング767。しかし、環境規制により間もなく生産終了の予定です。後継機として期待されるのが「787」の貨物機仕様ですが、なかなか登場しないのはなぜでしょうか。

「777」ではデカすぎる! 深刻な「サイズ問題」

 昨今、物流の拡大で航空貨物の需要が高まっています。そうしたなか、物流の現場で「使い勝手ナンバーワン」として愛されている飛行機が、ボーイング767フレイター(貨物機)です。

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ボーイング787(画像:写真AC)

 この機体は、世界中の物流会社で貨物専用機として採用されるなど、現在も第一線で活躍しているベストセラー機ですが、実は「2027年問題」と呼ばれるタイムリミットが迫っています。

 ICAO(国際民間航空機関)が定めた新たなCO2(二酸化炭素)排出規制が2028年から適用されるため、基本設計の古い767は、2027年末をもって生産を終了せざるを得ない状況に陥っているのです。

 ちなみに補足しておくと、これは法律で生産禁止になっているわけではありません。特別措置が用意されたものの、開発元のボーイングが生産終了を選んだ形です。

 ハナシを元に戻すと、ICAOの排出規制は自動車でいうところの「排ガス規制」のようなもので、どれだけ人気があっても、古いエンジンのままでは新車として売ることができなくなります。

 そこで焦点となるのが「後継機」です。ボーイングは最新の大型貨物機「777-8F」を発表していますが、航空会社からは「それでは大きすぎる」という声が上がっています。

 これはトラックに例えるとわかりやすいでしょう。

 ボーイング767貨物機(最大積載量約52~54t)は、街中の配送にも使える「4tトラック」のような存在です。小回りが利き、ほどよい量を運ぶのに適しています。

 一方、新型のボーイング777-8F(最大積載量110t以上)は、高速道路を走る「大型トレーラー」です。

 一度に大量の荷物を運ぶのには適していますが、近所のコンビニへの配送にトレーラーを使うのが非効率なように、路線によっては「デカすぎて荷物が埋まらず、空気を運ぶことになる」という事態が起きてしまうのです。

 そのため、767と777の中間サイズにあたる「787」の貨物機化が熱望されています。787であれば積載量は70tから80t程度と予測され、767の代役として理想的なサイズ感になります。

 しかし、待望の「787貨物機」は、メーカーからなかなか正式に発表されません。そこには、最新鋭機ならではの事情がありました。

【こんなんあったの?】B767貨物機の「ギンギラJAL仕様」(写真で見る)

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