LCCの深夜早朝便は「儲かる」のか? ジェットスター注目の新路線は「あえて」日中便! その緻密な計算の裏側

ジェットスター・ジャパンが成田~高雄線を開設。LCCなのに深夜早朝ではない時間設定には、空港割引と人件費を天秤にかけたLCCならではの緻密な計算がありました。その「損して得取れ」戦略の裏側を解説します。

「儲かる」は本当? 深夜早朝便の損得勘定

 さらに、成田空港側のインセンティブ制度(2024〜2027年度版)を見ると、午前6時〜8時59分、午前9時〜10時59分、夜20時〜21時59分が着陸料割引の対象時間帯(時間区分A, B, Eなど)とされており、午前9時25分発便はこの中の「時間区分B(9:00〜10:59)」に該当します。つまり、深夜超早朝便よりは人件費・運航リスクを抑えつつ、割引制度を活用できる“バランス型”の時間帯とも言えます。

 つまり、午前9時25分発という選択は、航空会社にとって「割引制度を確保しつつ、人件費・運航リスクを抑える」ための緻密な戦略の結果と見られます。一般に、LCCが深夜早朝便を設定する際には、“飛ばさない場合の機材遊休コスト(=高価な機体を止めておく機会損失)”と“地上支援業務コスト(深夜帯割増)”の綱引きで決まります。したがって、深夜早朝便が常に“最も儲かる”わけではなく、LCCは1便単体ではなく、1日・1機材の稼働総量で収益を最大化する設計を行っています。

 ジェットスター・ジャパンのこの「午前9時25分発」という時間設定は、まさにその“機材稼働+人件費+アクセス+空港割引”という複数要因を考慮した結果であり、LCCの時間帯設計として興味深い事例です。

【写真】デザインまで違う! これがJJPの「新型旅客機」全貌です

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