ボーイング「2年ぶりに最新鋭機を国際舞台で見せます」狙いは? ANAも発注の「新・世界最長ボディの旅客機」など

ボーイングが、約2年ぶりに自国以外で、同社が開発を進めている旅客機「777-9」「737MAX」の社有テスト機を披露します。どういった狙いがあるのでしょうか。

中東の空でなにをアピールしたのか

 実は、2025年に入ってのボーイングの航空会社への民間航空機の納入機数を見ると、2024年通期が348機だったものの、2025年は10月発表の段階で既に440機に。生産数を上げている状況です。同社はこれまで、経営手法の変遷から航空機製造能力に疑問が投げかけられていましたが、納入機数からも復活をアピールできると踏んだと考えられるでしょう。

 この理由に加えて、中東地域は元々オイルマネーを持つ大口の顧客へアピールする絶好の機会でもあります。2年間も海外に姿を見せなければ、さすがにエアバスの後塵を拝しかねないとの思いがあったのかもしれません。

 そして、今回は中国が、737MAXのライバル機としての仕立て上げを狙い開発したモデル「C919」を初めて中東地域で展示します。C919が本格的な737MAXのライバルになるのは時間がかかりそうですが、中国の開発。売り込みの状況を見ると、油断できる存在ではありません。

 ただし、777-9と737MAXの展示復活がそのままボーイングの“復活”を示しているとは言い難いでしょう。777-9でいえば、各国の航空会社への納入は遅れており、ANAも2027年1~3月期を視野に入れているとも。納入自体も当初の計画よりすでに現時点で6年も遅れている状況です。今後はどのようにして、これ以上納入を遅らせないかが重要になります。それを思えば、ドバイ航空ショーの展示以降もボーイングの動向を観察し続けることが重要でしょう。

【写真】驚愕!これが「新・世界最長ボディ旅客機」の“可変式主翼”全貌です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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