全国で唯一「ドライブスルー公衆電話」とは? 愛知に現存する“珍スポット”行って判明! その使い方

日本には、クルマに乗りながら利用することを想定した公衆電話があります。時代が進むにつれてそれらはなくなっていきましたが、愛知県日進市にはその数少ない公衆電話が現存しています。

2019年にリニューアルもしたドライブスルー公衆電話!

 ドライブスルーと聞いて、まず思い浮かべるのは、ハンバーガーやコーヒーショップなどのファストフードでしょう。しかし、現代では想像もつきませんが、かつて日本にはクルマに乗車しながら利用できる「ドライブスルー公衆電話」というものがありました。

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入口に掲げられた看板。名鉄日進駅から北へ約1.5kmほど行った場所にある(鈴木伊玖馬撮影)。

 生まれたのは1980年代のこと。当時は携帯電話が普及する前で、自動車電話なども「激レアアイテム」でした。自動車に電話を装備しようとなると、センターコンソールボックスなどに発信ボタン内蔵の受話器を搭載するのはもちろん、リアトランクには黒い専用アンテナが必要になるなど、さまざまな追加装備を取り付けなければなりませんでした。

 そのため、当時は警察などの緊急車両ですら無線が主役で、役員専用車など、ごく限られたクルマのみの高級装備だったのです。

 その後、手軽に連絡の取れるアイテムとして一世を風靡したのが「ポケットベル」です。しかし、こちらでさえ多くの人に広まるのは1990年代のこと。一般市民が車内から電話できるようになるのは、まだまだ先のハナシでした。

 そのような時代に現れたのがドライブスルー公衆電話です。初めて登場したのは1987年の長野県。愛知県日進市に設置されたのは2年後の1989年4月です。最盛期には全国に数十か所あったそう。上術したような時代背景から、利用者はある程度いたのではないでしょうか。

 その後、携帯電話などの普及によって設置場所は減少。2019年12月上旬には島根県雲南市に設置していたものが廃止されたことで、愛知県日進市が全国唯一になりました。

 しかし、そんな状況でも日進市のドライブスルー公衆電話はしっかりと整備されています。2019年6月にはリニューアルを実施。2レーンに2台あった電話機が1レーン1台に減少しましたが、道幅は広くなるなど、安全性と利便性はさらに向上しています。

 このリニューアルの際には雨よけの屋根を新品に取り換えたほか、停電時でも点灯するソーラー式LED電灯が新設されました。災害用伝言ダイアル「171」の利用方法や、公衆電話の歴史をパネルで紹介するなど、これまで以上に便利で楽しい場所になっています。また、クルマだけでなく、自転車や徒歩でも利用可能です。

【写真】唯一無二の「ドライブスルー公衆電話」周辺の道路状況です

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