ロシア 新型の原子力砕氷船「スターリングラード」の建造開始! 独ソ戦の激戦地を船名にした理由とは?
ロシア大統領府は2025年11月18日、原子力砕氷船「スターリングラード」の起工式がサンクトペテルブルクのバルチック造船所で行われたと発表しました。
2023年に船名が変更された砕氷船
ロシア大統領府は2025年11月18日、原子力砕氷船「スターリングラード」の起工式がサンクトペテルブルクのバルチック造船所で行われたと発表しました。
同船はプロジェクト22220型原子力砕氷船の6番船で、北極海など氷海域での運用を想定して建造されます。大統領府の発表によれば、全長173.3m、幅34m、高さ15.2m、出力60MWで、氷のない海域では22ノット、厚さ3メートルの氷を砕いて航行できるとしています。
原子力は高い出力を長時間維持できるため砕氷船にとって理想的な動力とされていますが、原子力砕氷船を定期的に建造・運用している国は世界で唯一ロシアのみです。1959年に世界初の原子力砕氷船「レーニン」を竣工させて以降、多数の船を建造し、2025年現在も8隻の原子力砕氷船を保有しています。
今回、船名が「スターリングラード」であることが大きな特徴です。同都市は1961年の「スターリン批判」を受けてヴォルゴグラードへ改称されていますが、約80年前の第二次世界大戦の独ソ戦(ロシアでは大祖国戦争と呼称)の転換点となったスターリングラード攻勢にちなみ命名されたとされています。
式典にクレムリンからリモート参加したウラジーミル・プーチン大統領は、「この砕氷船の起工日はスターリングラード戦の転換点となった日々に重なります。新たな砕氷船はその名にふさわしく任務を果たしていくでしょう。過酷な北極の氷を切り開きながら進むこの船は、我々の才能・力・創造的エネルギーを象徴するものとなります」と述べました。
なお同船は、当初は「サハリン」という船名になる予定でしたが、2023年に「スターリングラード」へと改名された経緯があります。そのため、この船名変更はウクライナ侵攻下での国威発揚など、政治的な意図を帯びているとの見方をロシア国外のメディアが報じています。





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