「在来線があまりに遠い新幹線駅」ついに着工へ 主要駅は“はるか彼方!?” 接続バスどうすべき? リニア山梨県駅を歩く

JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線で、唯一未着工だった山梨県駅の建設が始まります。ただ、在来線の主要駅とは大きく離れており、最寄り駅とシャトルバスでつなぐ構想には異論が出ています。

果たして勝算があるのは…

 リニア山梨県駅は品川方面、名古屋方面ともに各駅停車が1時間おきに発着する予定で、山梨県は2021年時点で小井川駅をつなぐシャトルバスを6―22時台に1時間当たり1往復する条件を設定。1日に4700人の利用を想定していました。

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山梨リニア実験線のL0(エル・ゼロ)系改良型試験車(大塚圭一郎撮影)

 しかし、筆者が尋ねた地元関係者は「小井川駅が主要ルートになるとは思えない」と異口同音に話しました。その背景として「本数が少ない身延線を利用するのは不便だ」「山梨交通の路線バスの多くは甲府駅を通っており、リニア山梨県駅も甲府駅とバスで結ぶのが自然だ」と指摘しました。

 確かに身延線の普通電車は甲府―小井川間で1時間あたり1―3往復しかしておらず、リニア中央新幹線向けに増やすにしても単線のため大幅な増加は不可能です。もしもJR東海がこの区間を複線化すれば別ですが、ある幹部は「そのような計画はない」と一蹴。「山梨県駅と甲府駅とつなぐバスを走らせる方が自然ではないか」との見解を示しました。

 こうした意見を踏まえると、リニア山梨県駅の主要な二次交通は小井川駅を結ぶシャトルバスではなく、山梨交通が提案している甲府駅とつなぐBRTか、BRTが実現しない場合でも新設されるであろう路線バスに勝算がありそうです。山梨県駅と甲府駅の間は通勤通学客らの利用も見込めるため、小井川駅と結ぶシャトルバスが想定している1時間当たり1往復より多頻度運行が可能になりそうです。

 ただし、身延線沿線の住民の一部や、下部温泉や身延山を訪問する旅行者らは小井川駅の利用が近道になります。そこで、甲府駅と山梨県駅をつなぐBRTまたは路線バスの一部を小井川駅まで延長運転し、途中で山梨大学医学部付属病院などの利用が見込める停留所を経由する方法もあるのではないでしょうか。旅行者向けに特急「ふじかわ」を小井川駅にも停車することも考えられます。

 まだ駅舎も着工していないのに気が早いと思われるかもしれません。それでも、リニア中央新幹線の建設は沿線地域の将来を左右するかもしれないだけに、入念な準備が求められそうです。

【こりゃ遠いわ…】リニア山梨県駅の位置と「2つのバス接続案」(地図/写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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コメント

1件のコメント

  1. いや、記事に書いてある話しが完全にまちがってるのですが、、

    山梨は富士トラムって新交通システムを導入する予定で、しかも昨日の全国ニュースで山梨県と東急が包括協定に署名するってイベントがあって、知事が富士急ではなく東急を富士トラムの運行主体にする旨の発言をして議論になてるよね?(山梨県知事と富士急は対立してる)

    申し訳無いが、普通の全国ニュースで取り上げられた話題すら見ないで記事書いてるのはヤバい。

    富士トラムの発表があったのもかなり前だし、山梨県のホームページにも運行予定地域の路線図が書いてあるよ。リニア甲府が入ってるよね?

    バスで身延線や甲府に接続するなんて、消えた話しを、何故、今更、堂々と書いてるのですか?その記事間違いですよ。