「在来線があまりに遠い新幹線駅」ついに着工へ 主要駅は“はるか彼方!?” 接続バスどうすべき? リニア山梨県駅を歩く
JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線で、唯一未着工だった山梨県駅の建設が始まります。ただ、在来線の主要駅とは大きく離れており、最寄り駅とシャトルバスでつなぐ構想には異論が出ています。
本年度中に着工へ
品川(東京都)―名古屋間でリニア中央新幹線の建設を進めているJR東海が2025年9月、唯一未着工となっている山梨県駅(仮称、甲府市)の新設工事の契約を締結。2025年度第4四半期(2026年1―3月期)に着工し、2031年に完成させることを目指しています。
契約した共同事業体(JV)は、JR東海が大株主となっている名工建設(名古屋市)、JR東日本の持分法適用関連会社になっている鉄建建設(東京都)、早野組(甲府市)の3社でつくります。名工建設と鉄建建設は鉄道関連の工事実績が豊富にあり、早野組は地元企業ならではの知見を持ちます。
JVが建設するのは山梨県駅の駅舎構造物(建築面積約1万5000平方m)に加えて前後の高架橋などです。
山梨県や甲府市によると、山梨県駅は地上4階建てとなり、4階のリニアのプラットホームは2面4線となります。改札口を2階に設け、北側と南側の交通広場を行き来できる通路を設けます。
計画によると、北側の交通広場には改札口とのアクセスが良い2階に高速バスの停留所、タクシーの乗降場所、および身障者が乗車する一般車両の送迎場所を設置。1階には路線バスやシャトルバスの停留所、タクシーの降車場所、送迎する一般車両の一時停車場所を設けます。南側の交通広場の1階には観光バスや予約型タクシー、短時間駐車場を備え、次世代モビリティーも使えるようにします。
北側を通る中央自動車道のスマートインターチェンジ(SIC)が山梨県駅の近くに新設され、南側には新山梨環状道路が東西に延びているため、リニア中央新幹線と自動車のアクセスは良好になります。ただし、在来線と接続していないことが大きな課題です。
最寄り駅は、約3km西側にあるJR東海身延線の小井川駅(山梨県中央市)で、山梨県は小井川駅とリニア山梨県駅の間にシャトルバスを走らせることを検討しています。リニア利用者を小井川駅へ誘導することで「利用者数が振るわない身延線の利用促進につながるとの計算もある」(関係者)そうです。
一方、身延線とJR東日本の中央本線が乗り入れ、特急列車も停車する県都の玄関である甲府駅は、リニア山梨県駅の北側約7kmと離れており、道路渋滞もネックとなります。そこで、地元の有力バス会社、山梨交通はバス高速輸送システム(BRT)で結ぶことを提案しました。
果たしてバスのルートは小井川駅と、甲府駅のどちらの方が利便性が高いのでしょうか。それを探るために筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は小井川駅とリニア山梨県駅建設予定地の間を歩き、その後は山梨交通のバスで甲府駅へ向かいました。




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