見た目は殆ど同じ! 中身は「iPhoneとガラケーくらい違う!」大量建造されたミサイル駆逐艦 まだまだ進化中!
アメリカ海軍は2025年12月10日、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦として初めて最新型「フライトIII」として就役した「ジャック・H・ルーカス」について、従来艦との違いを紹介しました。
すでに73番艦だがまだ増える!?
アメリカ海軍は2025年12月10日、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦として初めて最新型「フライトIII」として就役した「ジャック・H・ルーカス」について、従来艦との違いを紹介しました。
「ジャック・H・ルーカス」は2023年10月7日に就役しましたが、2025年12月現在、初期運用試験・評価(IOT&E)のキャンペーン艦に指定され、各種試験が進められています。IOT&Eでは、海戦を想定した環境下での性能評価や、整備にどの程度の負担がかかるのかといった点の確認などが行われています。
フライトIIIでは、新型のSPY-6レーダーを中核とする対空・対ミサイル防衛レーダー(AMDR)を中心に、先進技術群が導入されています。これは、アメリカ海軍の水上艦に搭載されたレーダーの中で史上最も強力なものであり、従来のアーレイ・バーク級に搭載されていたSPY-1D(V)と比較して感度が飛躍的に向上しています。これにより、より小型で高速、かつ複雑な脅威を、より長距離で探知・追尾・識別することが可能となりました。
さらに、イージス戦闘システムも最新バージョンである「ベースライン10」へと更新されています。このシステムでは、弾道ミサイル防衛(BMD)や統合防空・ミサイル防衛(IAMD)が強化されており、新たな脅威となっている極超音速兵器に対する対応時間の短縮も図られています。
同艦のレーダー性能について、水上艦ソナー技術主任のニコラス・セダーブロム上級曹長は「折りたたみ式携帯電話からiPhoneに変わるようなものです」と表現しました。「どちらも通話やメッセージはできますが、それ以上にできることが桁違いです。旧来のシステムから、現在の高度な能力を備えたシステムに移行したことで、まったく新しい次元に入りました。これを実現したのは他に例がありません」と説明しています。
外見上は従来のアーレイ・バーク級と大きな差異はありませんが、セダーブロム上級曹長は「外部の武装は同じですが、違いを生むのは内部の構成要素、そして何より乗員です。我々は新型SPY-6やベースライン10(レーダーの独立化を図った最新バージョンのイージスシステム)、そして艦内のすべてを支える機関システムを使いこなす次世代の人材を育成しています」と語っています。
また、フライトIIIの大きな特徴として、退役が進められているタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦に代わり、対空戦指揮艦としての役割を担う機会が増えると想定されている点が挙げられます。そのため、艦長には大佐が充てられることも変更点のひとつです。同艦の艦長であるアンディ・ブッカー大佐は、「私が着任して約18か月になりますが、技術が進化し、要求を満たしていく様子を見るのは素晴らしい体験です。この艦がもたらす戦闘能力の規模は、まさに卓越しています」と評価しています。
アーレイ・バーク級は、本来であればズムウォルト級に主力の座を譲る予定でした。しかし、ズムウォルト級は建造費の高騰や、想定していた性能を十分に発揮できなかったといった問題を抱えたことから、アーレイ・バーク級の建造が継続・再開されることとなりました。「ジャック・H・ルーカス」は同級の73番艦であり、まさにその空白を埋める存在として建造された艦でもあります。
なお、アーレイ・バーク級の後継艦については、DDG(X)の開発が進められていますが、その就役は早くても2030年代以降とされています。このため、アーレイ・バーク級の建造は今後も継続される見通しで、最終的には90隻を超える規模になるとみられています。





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