「牛乳プハーァッ!」大臣がまた一人!? 小野田大臣に続く そうかこれが“国土強靭化”か…!

記者会見で牛乳を一気飲みする異例のパフォーマンスを披露した、国土交通大臣。省庁の垣根を越えたPRの背景には、冬場の牛乳消費拡大という切実な狙いがありました。

“骨太”の方針は、まず牛乳から

 壇上には“牛”。左右には「牛乳でスマイルプロジェクト」と書かれたのぼり旗。ここは国土交通省のはずでしたが――。

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牛乳プハーした農水大臣以外の大臣第一号、内閣府の小野田紀美特命担当大臣(画像:内閣府)

 2025年12月19日午前、いつもどおりの会見に金子恭之国交相が登場して、過去最高の予算額となった補正予算の説明や視察の説明を続けたのちに、こう語りました。

「普段はここにお水を置いているんですが、今日は地元、熊本県産の牛乳でございます。ご存知ない方もいると思うんですが、熊本県は都道府県別の生乳生産量で北海道、栃木県に続いて全国3位の生産地であります」

 金子氏の選挙区は八代市や人吉市が含まれる熊本県第4区。ご当地PRかと思いきや、「鈴木憲和農水相の声掛けで」と説明します。

「寒さが増す季節になると、牛乳の消費が極端に落ちてしまいます。牛乳として消費されない分は、ヨーグルトなどの乳製品に加工されますが、近年その需要も振るっておりません。牛乳の安定供給を確保していくためには、牛乳やヨーグルトの需要回復が急務でございますが、そのためにはまず多くの皆様にこのことを知っていただくことが重要」と、牛乳の消費を訴えた後に、腰に手を当てて、“あのポーズ”を取りました。

「鈴木農水大臣の意気込みに応えていくためにもですね、私も、あの、率先して、えー今日は牛乳を、飲まさせていただきたいと思います。これが牛乳です。じゃあ、これから飲みます」

 さらに、飲み終わってダジャレを一言。

「はい。おいしいです。ここで、“もう”一杯っていきたいところでありますけれども、え、今日はこれにて終わらせていただきたいと思います。えー、皆様には特に寒くなるこの時期、ホットミルクや牛乳や、ヨーグルトを使った煮込み料理など、牛乳の消費拡大にご協力をお願いしたいと思います」

 閣議後の大臣の会見ではいろいろな話題が飛び出しますが、省庁の垣根を超えた話は、珍しいです。閣議では首相のもとに大臣が一堂に集まるので、そこでの依頼だったようです。国土交通省と農林水産省の仕事は全く違いますが、金子国交相はこうも話しました。

「私も、母の実家が酪農家でありましたし、まあ友人も酪農していることもあり、おかげさまで牛乳を子供の頃から飲んだおかげで、病気もしない丈夫な体になりました」

 牛乳にはカルシウムが豊富に含まれ、骨の形成に役立ちます。政府の財政運営では2000年頃から「骨太の方針」という言葉が使われ始めて、まさかの牛乳で骨太……つながりなのでしょうか。国交省では災害に強い「国土強靭化計画」が2026年度から5年間、事業規模約20兆円のプロジェクトが動き出そうとしていますが、まさかまさかのら国土強靭化計画は丈夫な体作りからだったということなのでしょうか。

2杯目の牛乳も飲み干し、さらに元気な足取りで会見室をあとにした国交大臣でした。

【写真】腰に手を当て「牛乳プハー」金子国土交通大臣(写真)

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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