「街が、なくなってる…!」山手線の隣駅で進む“まるごと再開発”の懸念 もうひと駅隣には”駅前高層廃墟”
山手線からひと駅の場所で再開発事業が本格化しています。しかし、先に再開発が行われた隣駅などの例を見ると、一概に歓迎ムードとはいかないようです。
「駅前廃墟」の懸念、ここでも?
さて、このふたつの再開発事業のうち街の表情に大きく影響しているのは、後者の西口再開発です。
西口再開発の対象となった街区には、ところどころ空き店舗もありましたが、それでもカウンターに人が座ると後ろを通ることもできないほど狭い居酒屋がいくつもあり、互いに顔は知っていても本名や仕事を知らない常連たちが酒を酌み交わす日常が日々繰り返されていました。またいくつかの飲食店はランチ営業で、近隣で働く人のニーズに応えていました。
ただ、こうしたお店のなかには常連客の高齢化、さらにコロナ禍での客足減などを被っているお店もあったようで、いくつかの店舗は再開発事業がはじまる前に店じまいしています。そして事業が本格化した現在、工事が止まる夜間は駅前一帯が闇に包まれている状況です。
では、再開発の完了で、JR板橋駅前はかつて以上の賑わいを取り戻すのでしょうか。ここで気になるのが、埼京線の隣駅で、ひと足先に再開発が行われた「十条駅」西口の現状です。
かつて十条駅の西口は、狭い街路で都道と接続する駅前広場を取り囲むように定食屋、安い居酒屋などが建ち並び、近隣住民の日常生活を支えていました。
この地区の再開発を進める北区は2020年に既存建築物の解体、除却に着手、2024年に低層階に商業施設「J& MALL(ジェイトモール)」、中層階に公共施設が入居、そして高層階が分譲マンションという高層複合ビルが竣工します。
しかし、そのJ& MALLは駅を出た人の流入を拒むような設計による回遊性の悪さ、さらに駅から右手に進めばパチンコ店、物販店、飲食店が数多く軒を連ねる「十条銀座商店街」が控えていることもあり、歯抜け状態のテナントには医療施設が目立つのみで、“駅前廃墟”とも揶揄され、「再開発は失敗だったのではないか」と見る向きもあります。
さらにもうひとつ気になる例は、同じ板橋区内で生活圏も重なる東武東上線「大山駅」の再開発です。こちらは長く続く商店街を都市計画道路で分断し、飲食店や居酒屋がひしめいていたエリアに高層マンションを建てたことで、地域の特色が失われたと非難する声が後を絶ちません。
JR板橋駅前の再開発の成果が明らかになるまで、あと数年はかかります。しかし、もしこの再開発が十条駅や大山駅の轍を踏むことになるなら、「低層の街並みを一掃して高層複合ビルを建てる」という再開発の手法そのものが本当に正しいのかどうか、問われることにもなりそうです。
Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)
1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。





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