2年後に新型登場「関東私鉄唯一の列車」現車両も“延命”か? 商機をつかんだ西武の“走るレストラン”
東京都心部から手軽に乗れるレストラン列車が、運行開始10年の節目を迎えます。後継車両の導入が決まっていても「進化を続けていく」、その中身は何でしょうか。
後継列車登場後の「運行形態」とは!?
意味深なのは、西武が「2028年3月以降における『52席の至福』運行形態は未定です。決まり次第、お知らせいたします」とコメントしていることです。
西武は2030年度までに省エネルギー化したVVVFインバーター制御の車両に統一する計画だけに、本来ならばVVVFインバーターを搭載していない「52席の至福」は退役するのが自然な流れです。にもかかわらず、「運行形態は未定」とあえて言及しているのは何らかの形で“延命”させる可能性が高いことを示唆しています。
西武関係者は現時点ではあくまでも「未定」としながらも、「52席の至福」を留め置いて営業する可能性を探っていることを明らかにしました。その一環として、4月4日の式典後の午後には、豊島園駅に停車した「52席の至福」の車内で、特製デザートと飲み物を提供する留め置きカフェ(代金は1人当たり6000円)が開催されました。西武によると、2部に分けて45人ずつ、計90人が参加しました。
「52席の至福」を留め置いての営業は2021年以降に実施しており、今回で4回目。今回の直近では2025年6月7日に武蔵丘車両研修場(埼玉県日高市)で開催された「西武・電車フェスタ2025 in 武蔵丘車両検修場」の会場でも、「52席の至福」を留め置きカフェとして営業しました。
この模様を紹介した2025年6月22日の筆者の記事(「走らないレストラン列車」もアリ? 走れば満席「関東私鉄唯一の列車」の将来像 担当幹部が明かす)では、担当幹部への取材などに基づいて「レストラン列車をVVVFインバーター搭載の別の車両に置き換え、現行の『52席の至福』は観光地に留め置いて営業するというシナリオも考えられます」との見方を示しました。
その約4か月後の2025年10月21日、西武は「ヴィエス」に当たる新型レストラン列車の導入を正式に発表しました。この決断は西武がレストラン列車の商機が続くとの確信を深めていることを浮き彫りにしています。他方で「52席の至福」は今回の留め置きカフェも大勢が参加した好評ぶりを踏まえると、アフタヌーンティーを提供する社交空間へと「進化」させる可能性も想定できます。
西武のレストラン列車が路線を広げて「『ヴィエス』で本格ダイニング、『52席の至福』でヌン活」という“複線運行”の日が果たして来るのかどうか、行き先が注目されます。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。





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