日産「フェアレディZ」(初代) 優雅でコワモテ? 「淑女」はなぜ「Z」をともなうのか

特別な「Z旗」、その意味するところとは?

「Z旗」と言われてすぐにピンとくる人は、相当な歴史ファンと言っていいでしょう。Z旗は、日本の海軍にとって特別な旗です。

 日露戦争中の1905(明治38)年に行われた「日本海海戦」において、「皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ、各員一層奮励努力セヨ」と掲げられたのがZ旗でした。いまふうに言えば「絶対に負けられない戦い」です。当時、世界最強の一角を占めていたロシアの艦隊に対して、弱小国であった日本の艦隊が立ち向かい、そして一方的な大勝利をおさめたのが日本海海戦でした。それ以来、日本海軍は勝負のときにZ旗を掲げるようになりました。

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三笠公園(神奈川県横須賀市)の戦艦三笠に掲揚されたZ旗(画像:photolibrary)。

 片山氏はその故事にのっとり、日産本社で冷遇されていたスポーツカー開発陣にZ旗のメッセージを届けたというわけです。

 そうして生まれた「フェアレディZ」は大ヒットモデルとなります。初代モデル(S30)は、1978(昭和53)年の生産終了まで50万台以上も売れました。スポーツカーとしては異例の数字です。カルロス・ゴーン氏も、かつて「フェアレディZ」のオーナーだったとか。

 日産の人気を支える「フェアレディZ」誕生には、開発者の強い思いがあったのです。

【了】

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Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。

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