超高速船ジェットフォイル、25年ぶりの新造決定 川崎重工が1隻受注

川崎重工が、東海汽船と鉄道・運輸機構との共同発注により、超高速船ジェットフォイル1隻の造船契約を締結しました。

2020年6月の引き渡し後、東海汽船の航路に投入

 川崎重工は2017年6月30日(金)、東海汽船と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)との共同発注により、ジェットフォイル1隻の造船契約を締結したと発表しました。

 この船は全長27.4m(水中翼を下げた状態)、型幅8.5m、旅客定員241人。神戸工場(神戸市中央区)で建造され、2020年6月に引き渡された後、東京の竹芝と伊豆諸島間を中心とした航路の旅客輸送に投入される予定です。

 川崎重工は1987(昭和62)年にボーイング社(アメリカ)からジェットフォイルの製造・販売の権利を引き継ぎ、1989(平成元)年から1995(平成7)年までに15隻のジェットフォイルを建造しました。今回のジェットフォイルは、川崎重工にとって25年ぶりの新造船となります。

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東海汽船のジェットフォイル「セブンアイランド大漁」。イラストレーターの故・柳原良平さんがカラーリングを担当した(画像:東海汽船)。

 ジェットフォイルは、「全没翼型水中翼旅客船」とも呼ばれており、川崎重工は、高速性能と船酔いのない快適な乗り心地を高いレベルで兼ね備えた超高速旅客船としています。

 2基のガスタービンエンジンで駆動するウォータージェット推進機から毎秒3トンの海水を噴射して前進。前後2枚の水中翼に発生する揚力で海面から浮上することで、時速43ノット(約80km/h)の超高速で航走します。

 また、波高3.5mの荒波でも安定航走でき、さらに航空機と同じように船体を内側に傾斜させることでスムーズな旋回が可能です。

 川崎重工は「今後とも、国内の離島航路をはじめとする高速海上交通の維持・発展のため、ジェットフォイルの建造に積極的に取り組んでいきます」としています。

【了】

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コメント

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7件のコメント

  1. 2015年にジェットフォイル消滅の危機とのニュースを拝見し、5隻のロット単位にならないと製造出来ないとの事だったが・・・今回の新造決定は1隻? 様々な条件をクリア出来たのかも知れませんが、何とか存続出来る道が出来て一安心ですネ! 様々にメリットが多いジェットフォイルは離島が多い日本にもピッタリなので国がもっと援助して拡充を期待したい。

    • 水を差すようですが、ジェットフォイル、つまり全没型水中翼船は意外とメリットないですよ。
      水中翼の揚力だけで船の重さを支えているため、大型化は難しいし、積載重量も厳しい(重すぎると船体が持ち上がらない)。それを改善する手段としては水中翼面積拡大(=揚力増大)があるが、面積を拡大しても揚力よりも水中抵抗が増えるため、あまり効果は少ない。
      また、搭載可能な機関も重量当たりの出力が大きいものが必要だが、その条件を満たす機関は小型軽量だが燃費そっちのけのガスタービンか、整備員泣かせの軽量高速ディーゼルしかない。おまけに出せる速度も入出港の際の水中翼が全く機能していない低速か、水中翼が揚力を発生している速度以上かしか出せない。
      また、あまりに燃料や荷物を積みすぎると水中翼が全く機能しないため、航続距離や最大積載重量が犠牲になる。
      おまけに船体も重量軽減のため、鋼鉄でなくアルミ(一部複合素材はありかもしれないが)でしか作れないため、整備・維持費用がとんでもなくかかる。
      残念ながら、それ以上のメリットがある航路は、あまりないでしょう。

  2. とりあえず存続とのことでホッとしましたが・・・
    メーカーにとって厳しい事業であることは変わってないはずで、何か、25年経ったことのメリットというか、厳しさを緩和するような技術的な方策とかは無いんでしょうかね・・・

    • 全く同じものを造っても仕方がないから、川重の技の真骨頂を見せてほしいね。

  3. 問題は、日韓航路で使用中の船の代替。まあ航路ごとまるまる消滅の可能性もありますけど。

  4. JETホイルは船酔いしないから好きなんだよね

    もっと普及してほしいけど高いからなー

  5. 最近、香港のフェリー運航会社はジェットフォイルをAustal社のCatamaranに置き換えました。Catamaranはジェットフォイルとほぼ同等の最高速度を45ノットで持っています。古いデザインの新しいコピーを作る代わりに新しいカタマランを買うほうが安いでしょうか?