飛行機は雲に入るとなぜ揺れる? 意外と複雑な空の航路事情 安全のための工夫とは
飛行機は離着陸時だけでなく、飛行中に雲に入った場合などにも揺れることがあります。完全に揺れないフライトは難しいといいますが、揺れを抑えるために運航やサービス面でも工夫されているほか、機材も進化しています。
飛行機の揺れ、クルマがデコボコ道を走るようなもの?
飛行機は飛行中に揺れることがあります。雲に入った場合など、「揺れていますが、飛行の安全性には問題ありません」といった機内アナウンスを耳にすることもしばしばあります。
飛行中の揺れはなぜ起こるのでしょうか。また、そのときパイロットやCA(キャビン・アテンダント)はどのように対応しているのでしょうか、ANA(全日空)に聞きました。
――飛行機が雲に入ると揺れることが多いようですが、これはなぜでしょうか?
おっしゃるとおり、一般的に雲のなかや、雲のすぐ近くを飛ぶときには揺れることが多いです。特に、積乱雲(いわゆる入道雲など)は中心部に激しい上昇気流が、その周囲には強い下降気流が存在し、このなかでは雨粒が浮かんでいられるほどの気流が発生しているため、激しい揺れが予想されます。パイロットは飛行機に搭載された気象レーダーの情報をもとに、積乱雲中の雨粒を観測することで、その空域を避けて飛行しています。
積乱雲を含む「積雲」系の雲は形状が盛り上がっていて、このなかを飛ぶと、クルマがデコボコ道を走るように揺れます。一方、平坦な形状をしている「層雲」系の雲は、上昇気流がないので、雲のなかを飛行しても大きな揺れにはなりません。
積乱雲ないし雷雲は昔から恐怖の的でしたからね。第二次大戦中にもパイロットには、戦闘中に積乱雲ないし雷雲に遭遇したら、離脱しても敵前逃亡ではなく緊急避難と見なす(本来はその後に違うものと遭遇したら、と続くのですが、それは趣旨と無関係なため省略)という位、一旦入ったら周囲も見えない風もすさまじい、それこそ当時のプロペラ機では墜落、下手すれば空中分解にも直結しかねない恐怖の源でしたから。