飛行機は雲に入るとなぜ揺れる? 意外と複雑な空の航路事情 安全のための工夫とは

パイロット、CAは揺れにどう対応? 機材も進化 

――揺れを抑えるための運行上の工夫はありますでしょうか?

 パイロットは様々な天気図や気象レーダーの情報から、事前に予想を立てながらフライトに臨んでいます。最近はコンピューターの気象解析が進み、ある程度の揺れの予想はできるようになってきていますが、やはり揺れへの対応、回避のしかたなどはパイロットの経験がモノをいう世界だと思います。

――CAは機体の揺れにどう対応しているのでしょうか?

 まず、フライト前にはパイロットとCAが「クルー・ブリーフィング」と呼ばれる打ち合わせを行い、揺れの情報をお互いに共有します。きょうの運航でサービスに影響するのは離陸何分後、何時間後なのか、どのくらいの揺れが何分間ぐらい続くのかなどを詳細に打ち合わせ、その情報を聞いたチーフパーサーはサービスプランを考え、CA全員で共有しています。

 CAはふだん、揺れた際に通路ではどのような姿勢を取ればよいか、ギャレー(調理場)にいた場合はどこにつかまればよいか、お客様にはどのように注意喚起すればよいかなどをイメージしながら乗務しています。お客様への対応としては、突然の揺れに備えた常時シートベルト着用のアナウンスや声がけを実施しているほか、状況に応じて、やけどを防ぐため冷たいお飲み物のみの提供にする、サービスのタイミングを変更するなどのアレンジをすることもあります。

――機材は揺れに対し進化しているのでしょうか?

 最新のボーイング787型機では「ガスト・サプレッション(突風抑制)」という機能が備わっています。揺れを打ち消すように翼の一部が動き、これを軽減するものです。より大型のボーイング777型機にも同じような機能はありますが、777型機に比べ揺れやすいはずの中型機である787型機でも、揺れの程度が大型機並みに抑えられているほど進化しています。
 
 また、ボーイング787型機は機体が重い状況でも高い高度を飛行できるようになっており、ルート選択のうえでも、より揺れの少ない空域を飛行することが可能になっています。

※ ※ ※

 ちなみに、ANAによると空の世界では、強い揺れがあった場合、必ず後続機に情報を伝える習慣があるとのこと。「みな、事故が起こらないようお互いに助け合っています」と話します。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 積乱雲ないし雷雲は昔から恐怖の的でしたからね。第二次大戦中にもパイロットには、戦闘中に積乱雲ないし雷雲に遭遇したら、離脱しても敵前逃亡ではなく緊急避難と見なす(本来はその後に違うものと遭遇したら、と続くのですが、それは趣旨と無関係なため省略)という位、一旦入ったら周囲も見えない風もすさまじい、それこそ当時のプロペラ機では墜落、下手すれば空中分解にも直結しかねない恐怖の源でしたから。