新幹線の乗り心地を再現する「箱」に乗車 どよめく車内 JR東海・小牧研究施設(写真18枚)

新幹線の乗り心地を再現する“箱”を、JR東海が所有しています。小牧研究施設にある、「快適な列車」を開発するためのものです、実際に「浜松駅発車」を体験したところ、周囲からは「どよめき」が聞こえてきました。映像でお伝えします。

ワープしたら気づかないレベル

本物のN700系と同じ乗り心地だった、JR東海・小牧研究施設の「車両運動総合シミュレータ」(1分49秒)。

 新幹線のようなデザインの“箱”――。JR東海の小牧研究施設(愛知県小牧市)にある、「車両運動総合シミュレータ」です。実車の乗り心地を再現できる、世界初の本格的な実験装置といいます。

 内部へ入ると、本物のN700系電車にそっくり。この装置で、浜松駅から東京駅に向かって発車するときの状況を体験しました。

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N700系のようなカラーリングのJR東海・小牧研究施設「車両運動総合シミュレータ」(2018年4月、恵 知仁撮影)。

 本物と同様の加速感を受けて浜松駅を発車すると、車窓も流れて行きます。CGで再現されたものですが、あわせて“車内”に聞こえてくる音は、実際の車両からとったものだそうです。

“列車”はまもなくポイント(分岐器)を通過し、浜松駅のホームがある線路から、東海道新幹線の本線へ合流。このときの揺れは、感覚的にはまさに「そのもの」でした。対向列車とすれ違ったときも、まさに「そのもの」。もし本物のN700系に乗っている途中、この「車両運動総合シミュレータ」へ瞬間的にワープしても、気づかないレベルだと思います。体験が終わったとき、“乗車”していたメディア関係者からはどよめきにも似た声が各所から聞こえてきました。

 上記体験の様子を外から見ると、“箱”は横に大きく移動しています。横方向の加速度をシミュレートするため、「車両運動総合シミュレータ」は左右方向に28mのレールがのび、その上を左右に動くようになっています。

 この「車両運動総合シミュレータ」では、実車で計測したデータを元にして、「速度を上げると、どうなるか?」「フルアクティブ制振制御装置の数値を変えると、どうなるか?」「ある揺れの成分を減らすには、どうしたらいいか?」などを検証。それを実車へフィードバックし、乗り心地の向上を図っているそうです。

 ちなみに、「車両運動総合シミュレータ」の車内では、実車同様にコンセントを使用可能。空調や電光掲示板もあります。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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2件のコメント

  1. いくら車輌を最先端の技術で良くしても線路基盤はイカンともし難く、従ってよく揺れる。

  2. これだけ乗り心地を研究しておいてこれまでフルアクティブサスペンションを頑なに導入しなかったのは単にコスト面でしょうか。
    (次期車で導入するということはそれなりに効果があるということなのでしょうし)

    余談ですが最近一段と東海道区間の縦方向の揺れがひどい気がしますけど気のせいでしょうか。
    (東京ー名古屋間は仕事で頻繁に利用しています)