日産「インフィニティQ45」(初代) いまに続く高級車ブランドの「最初の顔」とは?
言うなれば「『アオレンジャー』の刺さり方」
ロングホイールベースの伸びやかなラインが魅力で、特にサイドから見た美しさに上品な高級感がありました。新開発のV型8気筒4500ccツインカムエンジンを採用し、最高出力280ps/6000rpm、最大トルク40.8kgm/4000rpm。当時、「スカイライン」や「フェアレディZ」で高い評価を得ていた4輪マルチリンクサスペンションだけでなく、さらにオプションで、市販車としては当時世界初となった油圧式のアクティブ・サスペンションも採用し、走行性能と居住性を両立していました。
ボディカラーも、文字通り出色で、カーボングラファイト(炭素)により光の加減や見る位置によって表情を変える「トワイライトブルー」(筆者〈下高井戸ユキ:ライター〉は断然こっち派)と「トワイライトブラウン」がありました。
なによりぐっときたのが、グリルレスのフロントマスクです。その頃の高級車は、口がガバーッとあいたフロントグリル=高級感溢れる、という図式が成り立っていましたが、「インフィニティQ45」の上品な顔立ちは、浮かれたバブル時代において、一歩引きながらある種の華を感じさせる出来栄えだったと感じています。アカレンジャーよりアオレンジャー派、という刺さり方。分かりにくいですね、すみません。
そして、フロントエンブレムの「七宝焼き」。高級車と言えば七宝焼きのエンブレムというのはトヨタ「2000GT」の時代から変わらぬワクワクポイントですが、シュッとしたフロントマスクに七宝焼きのエンブレムというのは、本当によく映えました。
2代目シーマに搭載されたVH41DEもなかなかのもので、実際に同クラスのトヨタの1UZより粗削りではあるものの排気量なりの仕事をするエンジンで、トヨタのセッティングのような最初の発進時のトルクの出方も唐突ではなく、オーナーであるドライバーに忠実に問いかけ準備に怠りの無いセッティングとでも申しましょうか?良い意味で自由な縛りの無い開発と言うか?
実は販売不振な車種にこそヒントがあるのかもしれないですね。