日産「インフィニティQ45」(初代) いまに続く高級車ブランドの「最初の顔」とは?
インテリアは「和」テイストと最新技術の調和
さらにインテリアでは、インパネを漆塗りにするという思い切った意匠になっていました。漆の上にチタン粉を吹き付け、金粉を蒔絵のようにちりばめる「KOKON(ココン)インスト」(メーカーオプション)というわかりやすい日本の高級感アピールが、「ゲイシャ、フジヤマ」イメージのアメリカ人のハートにズキュンといった感があります。まさに、ばっちりアイラインと着物で「和」を象徴しながらハリウッド映画に登場するスタイル抜群の日本人女優、みたいな感じ。実際、国内よりもアメリカでの人気の方が高いモデルではありました。
もうひとつ、個人的に見逃せないのが、オートドライビングポジションシステムです。これは、乗降しやすくするために、ドアを開ける、もしくはキーを抜いた時に、自動で運転席が後ろに下がり、ステアリングホイールが跳ね上がるというもの。そしてキーを差し込むと、ステアリングが手元の位置に戻るのです。専用コクピットっぽいギミックの「ガンダム感」と、「行き届いていてまっせ、おこしやす感」が、このクルマの雰囲気と相まって、「どんなもんだい、日本の技術」と胸を張りたい仕様になっていました。
その後、1993(平成5)年のマイナーチェンジでグリルレスではなくなり、蒔絵も七宝焼きもなくなっていきました。でも、現在のインフィニティ車にはあのエンブレムは健在ですし、インフィニティ顔のまま販売されることになった現行「スカイライン」や「フーガ」のグリルに装着されるエンブレムを見ると、筆者はつい「インフィニティQ45」を思い出してしまいます。現代に至る日産の高級車ラインの礎となった「Q45」。忘れられないモデルです。
【了】
Writer: 下高井戸ユキ(ライター)
コスメ系雑誌などに、インタビュー、ライフスタイル系記事を執筆。「クルマ」と、「クルマ好き」が好き。運転は苦手。
2代目シーマに搭載されたVH41DEもなかなかのもので、実際に同クラスのトヨタの1UZより粗削りではあるものの排気量なりの仕事をするエンジンで、トヨタのセッティングのような最初の発進時のトルクの出方も唐突ではなく、オーナーであるドライバーに忠実に問いかけ準備に怠りの無いセッティングとでも申しましょうか?良い意味で自由な縛りの無い開発と言うか?
実は販売不振な車種にこそヒントがあるのかもしれないですね。