シャンパン瓶を船にぶつけて祝う「進水式」、本当は怖い儀式? 変化したそのあり方

いまや建造作業のいち過程に

 とはいえ現在、10万トンを超えるような大型船では、「船台進水」はほとんど行われていません。代わって現在主流なのは、「ドック進水」と呼ばれる方法。水門を閉めて海水を排出したドック内で船を建造し、完成後、ドック内に海水を注入して船を浮かばせてから、海上に引き出す方式です。

 こちらのほうが、船台での建造より効率がよく、進水時の安全性も高いため、大型船のほとんどはドックで建造されます。大きな船体が船台から水面へと滑り下りていくという盛大な進水式は、現在では減りつつあり、建造作業の一環としての性格が強まってきているのです。

 ほとんどの場合、進水時はまだ船が完成したわけではなく、この時点で出航することはできません。船台での建造であれば、進水後、船はタグボート(曳船)で運ばれて岸壁に係留され、最終段階の艤装工事に入ります。進水時はできるだけ船体が軽いほうがよいので、エンジンやボイラーといった機関や電気機器などは進水後に装備されます。

 しかしドックでの建造が主流となった現在では、ドックでの船体工事と並行して地上で艤装も行ってしまったほうが効率もよいため、艤装作業の大部分は進水前に行われるようになってきています。なお、艤装が完了した時点でも、船はまだ完成とはいえません。各装置の作動試験が行われ、最後に海上での試運転が実施されます。ここでさまざまな試験に合格して、初めて船は完成したといえるのです。

 ちなみに、船台進水では海に滑り込む際、必ず「おしり」(船尾)から入ります。船首は船尾よりも細いため浮力がつきにくく、そのうえ造波抵抗も少ないこともあり、船体が海に沈んでしまうのです。また、舵やスクリュー、プロペラなどが損傷する危険もあるため、必ず船尾からと決まっているのです。

【了】

※記事制作協力:風来堂

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コメント

1件のコメント

  1. 大型船舶を船台上で建造したのがアダになったといえば、当初巡洋戦艦(という触れ込みの高速戦艦)として起工されたが途中から空母にされようとしていた天城だろうな。
    関東大震災の時に船台から滑り落ちて竣工できなくなった。運に翻弄された、極め付きの不運艦と言えよう。