【都市鉄道の歴史をたどる】王子電気軌道の足跡を追う 埼玉直通も目指した都電荒川線
いまでは「唯一の都電」として知られる都電荒川線ですが、この路線は最初から公営だったわけではなく、王子電気軌道という民営会社が運営していた路面電車を公営化したものです。東京北郊の王子電気軌道がたどった歴史をたどります。
「最後の都電」は都電らしくない?
東京近郊の民営軌道の軌跡をたどるシリーズの第2回は、都電として現存する唯一の路線「荒川線」の前身、王子電気軌道について取り上げます。
最盛期に200km以上の路線網を誇った都電は、東京都交通局の財政再建と道路渋滞解消のため、1967(昭和42)年から順次撤去されていきます。1972(昭和47)年11月、前回紹介した旧城東電気軌道線区間を含む6線区が廃止され、最後に残ったのが32系統と27系統の一部、早稲田から三ノ輪橋までの区間です。
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Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx
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