高速道路の「足場要塞」けっこう小さくなった…? “山を削り取る”大工事、どこまで進んだ?
上信越道で進む道路上の「山を切り崩す」工事。「足場要塞」とも呼ばれる現場の物々しさも話題になりますが、その「要塞」は小さくなっています。工事はどこまで進んだのでしょうか。
全国ここだけ「道路上の山を切り崩す工事」
上信越道では2025年現在、道路上の「山を切り崩す」という特異な工事が行われています。切り崩す山が巨大な足場で覆われ、「足場要塞」として話題となった工事ですが、7月に通ってみると、明らかに以前よりも「要塞」が小さくなっていました。工事はどこまで進んだのでしょうか。

これは碓井軽井沢ICの北側、群馬県安中市で行われている「北野牧工事」です。北野牧トンネルの上に露出していた高さ70mの岩山(岩塊)を足場で覆い、この岩塊を上から削り取って撤去する工事が進められています。
足場要塞はインパクト満点で、この工事はテレビでもしばしば取り上げられるほか、NEXCO東日本のプロモーションビデオとしてSA・PAなどでも盛んに放映されています。ただ、利用者からは、上り線のトンネルとトンネルに挟まれたカーブ区間を走行中の一瞬しか見えません。
急峻な地形に工事ヤードと搬入路などを確保する準備工事に6年をかけ、2023年2月から岩塊の撤去をスタート。NEXCO東日本 長野工事事務所によると、そこから2年余りで46mを削り取ったというので、いまの高さは24mほどになっています。
掘削土量にすると、総量9万4800立方メートルのうち、現在は約8万3800立方メートル、進捗率としては7月末時点で88.4%だそうです。
「地質は部分的に異なるものの、全体的には安山岩」とのことで、撤去工事は順調に進んでいるといいます。このままいけば、2026年春頃には撤去が完了する見込みとのこと。
ただ、そこから工員輸送用のモノレールや車両用のエレベーターであるインクラインを撤去するなど、“後片付け”に約3年が見込まれています。本線には石などの落下を防護するためにロックシェッドが設けられていますが、これを撤去する際には夜間通行止めが発生するといいます。
なお、岩塊を削り取った部分は全体的にコンクリートを吹き付けて仕上げるとのことで、最終的な姿は「パっと見、コンクリートのカタマリになる」イメージだそうです。
この工事は、1996年に北海道で発生したトンネル坑口付近の岩盤崩落により、20名が亡くなった事故が背景にあります。事故後、全国のトンネルの上が緊急的に点検され、同様のリスクがある場所として唯一選定されたのが、この上信越道「北野牧トンネル」上の岩塊でした。将来のリスクを取り除くため、上信越道リニューアルプロジェクトの一環として進められています。
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