【廃線跡の思い出】沖縄県営鉄道糸満線 「旧・最南端」の終着駅に残っていたトイレ

戦争によって破壊され、そのまま消滅した沖縄県営鉄道。糸満駅の跡地に往時の面影はなかったものの、トイレだけがポツンと残されていました。

かつて日本最南端の駅だった

 いまは普通鉄道の営業路線が存在しないものの、戦前には営業路線があった沖縄県の沖縄本島。路面電車や馬車鉄道のほか、県都・那覇市を中心に島内3都市に延びる与那原線、嘉手納線、糸満線を沖縄県が運営していました。

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糸満線の高嶺~兼城間に残る橋の残骸(2005年4月、草町義和撮影)。

 このうち糸満線は、与那原線の国場駅から本島南部の糸満駅までを結んでいた、全長15.0kmの路線。沖縄県営鉄道の路線なかでは最も遅い、1923(大正12)年に開業しました。ほかの2路線と同様、太平洋戦争の沖縄戦で破壊し尽くされ、1945(昭和20)年に運行を停止しています。

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糸満線の喜屋武~稲嶺間に残る線路跡(2005年4月、草町義和撮影)。

 2005(平成17)年4月に糸満線の廃線跡を散策したところ、ごくわずかながら路盤が生活道路になって残っていたほか、高嶺~兼城間にも水路をまたぐ橋の残骸が畑の真ん中に鎮座していました。

 そして、かつて日本最南端の駅だった糸満線の終点、糸満駅へ。現在の糸満小学校と糸満中学校に囲まれた区画が跡地で、いまは住宅が立ち並んでいます。駅の様子をしのばせるものは何もないと、そう思っていました。

 しかし、住宅地のなかにいた老人に「ここに糸満駅があったんですよね」と質問してみると、意外な答えが返ってきました。

「駅の便所が残ってるよ」

 沖縄県営鉄道の現存する遺構は、事前にあらゆる資料をあたって徹底的に調べあげたつもりでしたが、糸満駅の遺構が残っているという話は初耳でした。とにかく老人の案内に従って歩いて行くと、それらしき構造物が目に入ってきました。

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糸満駅の跡地に残っていたトイレ(2005年4月、草町義和撮影)。

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Writer:

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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