乗って分かった! 西武特急の新型001系「ラビュー」、車内の注目ポイントは?
座席は減ったけど増えている?
「ラビュー」の眺望は、側面だけではありません。池袋寄りの先頭車(8号車)に移動してみると、運転室越しながら前方の景色がよく見えました。ちょうど練馬駅を通過するところで、西武線に乗り入れている横浜高速鉄道みなとみらい線の電車がホームに停車していました。
従来の西武特急車両「NRA」は運転室の後ろにデッキがあり、デッキと客室も壁で仕切られています。これに対して「ラビュー」は、運転室のすぐ後ろが客室で、隔てているのはガラス。つまり、先頭の眺望を楽しめるようになったのです。
後方(西武秩父寄り)の1号車に移動すると、バリアフリー設備が集中していました。車いすスペースは2席分を確保。オストメイトに対応した多目的トイレもあります。どちらもスペースが広く確保されているため、通常の座席は中間車の60席に対して半分以下の26席しかありません。
それでも「ラビュー」の座席数は、編成全体でみると「NRA」より16席多い422席です。これは「ラビュー」が「NRA」より1両多い8両編成のため。1両あたりの座席は減っても、編成全体では増えているのです。
席に座ってみました。このリクライニングシートは、背もたれと片側の肘掛けが一体化しており、背もたれを倒すと肘掛けも同時に傾きます。リクライニングしても腕の位置が変わらず、違和感を覚えません。座り心地が良いため、ついウトウトしてしまいました。ちなみに、「ラビュー」のデザインを監修した建築家の妹島和世さんによると、シートの黄色は「西武鉄道の電車」をイメージしたといいます。
「ラビュー」はダイヤ改正が実施される3月16日(土)から、池袋線・西武秩父線の特急「ちちぶ」(池袋~西武秩父)と特急「むさし」(池袋~飯能)で運行されます。当面は上下計11本(土休日は計10本)のみが「ラビュー」で運転されますが、2019年度末までに池袋線・西武秩父線を走るすべての特急が「ラビュー」に置き換えられる予定です。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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