阪急の創業者「小林一三」 いまにつながる私鉄経営の基礎を築いたアイデア

日本のおもな私鉄は、鉄道を軸に沿線を開発する形で事業を展開してきました。このビジネスモデルを最初に導入したのが、阪急電鉄の創業者である小林一三。鉄道の経営を成り立たせるためには、こうした事業展開が必要でした。

「宝塚歌劇」も鉄道維持のための策だった

 1910(明治43)年3月には、現在の阪急宝塚本線と箕面線に相当する路線が開業しましたが、当時の沿線は田畑が広がっていて人口も少なく、鉄道の経営は難しいと思われました。

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箕面駅で発車を待つ阪急箕面線の電車(2017年2月、草町義和撮影)。

 そこで小林は、ターミナルに百貨店を建設したり、沿線に住宅地や娯楽施設を整備したりしました。沿線の住宅地に引っ越してきた人や、娯楽施設を訪ねる観光客に箕面有馬電気軌道を利用してもらうようにして、鉄道の運賃収入を増やしたのです。

 宝塚歌劇団も、元々は箕面有馬電気軌道の利用者を増やすための施策として設立されたものです。また、沿線に開発した住宅地は月賦方式で販売。これも小林が考えたもので、現在の住宅ローンの先駆けといえます。資産家でなくても土地付きの家を買えるようになり、沿線の開発が加速。箕面有馬電気軌道の利用者も増えました。

 鉄道の建設と沿線の開発を連動させて利益を生み出すという小林のアイデアは、日本における私鉄経営のビジネスモデルになりました。いまでは、経営規模の大きい私鉄の多くが不動産事業も展開していますし、さらには沿線外でも、リゾート開発を進めたり娯楽事業を展開したりするなど、経営の多角化を図っています。

【了】

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